【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<上>手厚い家族給付制度

家事を分担し、娘3人を育てながら働くソフィーさん(右)とロマリックさん(左)

 日本と同様に1970年代以降、少子化傾向が続いたフランスだが、80年代から乳幼児向けの子育て支援策の充実が図られた結果、90年代半ばを底に上昇、現在は2・0という先進諸国の中でも高い出生率を維持している。出生率はなぜ上がったのか。現場から3回に分けて報告する。

 パリ市北西部17区。ミドン家の朝は忙しい。午前7時起床。夫のロマリックさん(38)が朝食の用意をする間に、妻のソフィーさん(36)は7歳、3歳、1歳半の3人の娘を起こす。手分けして食事をさせた後、7時半には夫婦ともに身支度を終え、子どもたちの着替え。8時には全員が家を出る。まず三女を保育所、次女を保育学校(幼稚園)、最後に長女を小学校に送り届けると、ソフィーさんはパリ郊外の職場へ、ロマリックさんは市内の事務所へ出勤する。

 ソフィーさんは弁護士事務所のアシスタント。ロマリックさんは建築家。結婚11年。この数年は子育てに追われている。ソフィーさんは午後5時で勤務が終わると、買い物をして6時には自宅へ。娘たちの迎えを頼むベビーシッターと一緒に、3人に夕食を食べさせ、お風呂に入れ、午後8時にはベッドへ。

 「それから10時までの2時間が夫婦2人の時間。ゆっくり夕食を取り、くつろぐ。時には芝居や映画にも。それと、家族で出かけるバカンス。これがエネルギー源かな」とソフィーさん。「子育ては大変だけど、子どもたちから得るものは大きい。保育所は安いし、保育学校は無料で、助けられている。あと1年たてばもう1人、4人目がいるかもしれない」と笑った。

 フランスの子育てを支えるのは、手厚い家族給付制度と税制上の優遇策だ。家族給付制度は家族保険料(雇用主が給与総額の5・4%負担)や社会保障目的税(税率7・5%)、国や県による拠出金を財源に、所得にかかわらず2人目から出る家族手当、3歳までの乳幼児受入手当、新学年手当など、子育て世帯を幅広くサポートしている。

 家族給付制度を運営する全国家族手当金庫(CNAF)によると、2013年の歳入824億ユーロ(約12兆3600億円)の42・9%を家族保険料、11・8%を社会保障目的税が賄う。

 ミドン家の場合、保育料は月330ユーロ(約5万円)。家族手当など月635ユーロ(同9万5千円)が支給されるほか、1日3時間で月1500ユーロ(同22万5千円)かかるベビーシッター代も、半分は補助される。税金も子どもの数が多ければ多いほど所得税が減税となる方式で、ベビーシッター代も半分は税控除の対象となる。

 3歳になると、小学校就学前教育を行うと位置づけられた保育学校に全員入校でき、その後大学まで、公立であれば学費は原則無料。世帯の収入、働き方に応じて支給されるさまざまな手当もあり「教育費の不安はあまりない」とソフィーさん。

 「保育代が給料と同じくらいかかったり、子どもが病気になるたびに休むのが心苦しかったり、日本だったら3人産んでいない」と言うのは、パリ市の南郊モンルージュに住む角田彩(かくたあや)さん(38)。フリーのコーディネーターとして働きながら、機械部品プログラマーのジェロームさん(37)と6歳、3歳、6カ月の3人の男の子を育てている。

 フランスの消費税は20%(一部軽減税率がある)で、日本の8%より高い。彩さんは「税金を払い、必要なときに援助を受けられる社会なら、安心して働き、子どもを育て、老後も過ごせる」という。「子どもたちは将来国を支える主力となる。子育てはお互いさまという感じで、男性も父親休暇や育児休暇を取り、会社も理解がある。みんな働いて子どもがいっぱい。しかも楽しそう」と日仏の違いを指摘した。


=2014/12/04付 西日本新聞朝刊=

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