【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<中>多彩な保育サービス

自宅でアイラン君(前列右)、エリアちゃん(前列左)を預かる保育ママのアイエットさん(後列左は次女のアスマちゃん)。同じ子どもを1年間預かるので、きょうだいのような雰囲気になる 拡大

自宅でアイラン君(前列右)、エリアちゃん(前列左)を預かる保育ママのアイエットさん(後列左は次女のアスマちゃん)。同じ子どもを1年間預かるので、きょうだいのような雰囲気になる

 パリの北の郊外、地下鉄終点からトラム(路面電車)で数駅。ビルヌーブ・ラギャレンヌ市のアパートに毎朝、アイラン君(2)とエリアちゃん(1)が通ってくる。「保育ママ」アイエット・トラベルシさん(42)の自宅だ。

 朝9時から、アイエットさんは2人とおもちゃで遊んだり、本を読んだり。午前11時半には食事をさせ、2人は昼寝。その間、昼食に帰宅する小中学生の3人の娘(14歳、11歳、8歳)と食事をし、軽く掃除洗濯。午後5時にアイラン君、6時にエリアちゃんの母親が迎えに来るまで、保育士の仕事をこなす。

 チュニジア政府で働いていたアイエットさんは、同郷でフランス在住の夫との結婚を機にパリへ。3人の子育てが一段落した5年前、「保育士免許を生かし自宅を保育所に」と保育ママ認定を申請。研修を経て、毎年2~3人の子どもを預かる。

 「保育ママは集団保育と個人保育の中間。小さなグループで家族的だし、保育時間も家庭の都合に合わせて融通が利く。週に数回は市内の保育ママセンターに一緒に出かける。そこで子ども同士が交流することで社会性も身につく」とアイエットさん。

 財政支援と並んでフランスの子育てを支える柱が、この保育ママに代表される多彩な保育サービスだ。働く親のための「保育所」、働いていない親も利用できる「一時保育所」、日本の幼稚園に近い「子ども園」、地方自治体職員の保育ママが運営する「家庭保育所」など、さまざまなサービスが整備されており、親は自分の暮らし方に合わせて保育方法を選択できる。3歳からは希望すれば誰でも通える「保育学校」があり、放課後も夕方まで利用できる学童保育の場があるのも大きい。

 人口2万7千人のビルヌーブ・ラギャレンヌ市の場合、保育学校7カ所のほか保育所4カ所、家庭保育所2カ所、一時保育所2カ所。市の乳幼児担当は「選択の幅は広い。ただ、施設定員は300で毎年300人が空席待ち」と指摘。フランスでは3歳未満で「待機児童」問題があることを認める。

 その受け入れ先となっているのが保育ママ。日本では保育所など施設型保育が中心だが、フランスでは両親が働いている3歳未満児は、保育所18%に対し保育ママ利用37%(2012年)と、在宅型が多い。

 そして、もう一つ、オランド政権になって始まったのが、保育学校の2歳児クラスだ。

 パリ市東部20区のパリカオ保育学校には今、12人の2歳児が通ってくる。同市内330の保育学校のうち2歳児クラスがあるのはまだ9校。アフリカ、アラブ、アジア系の人たちが多く住むこの地区に昨年秋、優先的に開設された。

 「全校児童150人の親たちの出身は34カ国に上る。小学校に入ってから遅れないよう、言葉の教育は重要だ。読書や歌に力を入れている」と、イザベル・シリエクス校長(50)。教師を続けながら3人の子どもを育て上げたイザベルさんは「子どもを『預かる』というより、保育・教育の機会をできるだけ多くの子にと心がけている。結果として、親たちの仕事と子育ての両立を支えることになる」と強調した。 


=2014/12/05付 西日本新聞朝刊=

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