【こんにちは!あかちゃん 第24部】少子化乗り越えた フランスから<下>家族を社会の根本に

インタビューに答えるロラン・クレブノ仏全国家族協会連合(UNAF)事務局長 拡大

インタビューに答えるロラン・クレブノ仏全国家族協会連合(UNAF)事務局長

 少子化を乗り越えたフランスの家族政策について、フランスの家族を公式に代表して活動する全国家族協会連合(UNAF)のロラン・クレブノ事務局長に聞いた。 (パリ国分健史)

 ‐家族政策はいつからか。

 「農業国であるフランスは、歴史的にも文化的にも家族を大事にしてきた。第1次大戦で多くの男性が亡くなり、女性が男性の役割を担って働かなければならなくなり、社会保障が始まった。第2次大戦後は、その政策に家族の声が反映されるようになる。フランスでは家族問題を民間でなく公的機関が解決すべきだという世論が強い。家族は国家にとって基本的な根本問題と認識しているからだ」

 ‐具体的にはどんな内容か。

 「フランスの家族政策には三つの柱がある。一つは法的環境の整備。事実婚や婚外子の容認、異性同性のカップルに結婚と同等の権利を与える「連帯市民協約(PACS)」の法制化、同性婚解禁と、時代とともに進化している。二つ目は家族給付制度。家族の収入や子どもの状況に応じて、全国家族手当金庫(CNAF)が財政的に支援する。税制上の優遇策もある。三つ目は保育サービス。家庭と職業を両立させて両親が働けるよう、子どもを受け入れるさまざまなネットワークを整備している」

 ‐いい形の人口動態を手にすることができたのはなぜか。

 「子どもを1人持つか3人持つかは、カップルが決めること。その決断がしやすい環境を、国や企業がどう整備するかだ。何が子どもを持つブレーキになっているか、カップルに寄り添って、不都合や不安をどう解消するかを考え、取り組んだ結果だ」

 ‐何が最も効果的だったか。

 「家族政策に秘策はない。いろんな施策を一緒に、横断的にやるしかない。家族問題には教育、交通、住宅、健康の問題もある。フランスの家族政策の特徴は、その政策の総合性にある。家族特性に合わせた減税、住宅提供、家族介護、すべてが家族政策。人口動態だけを問題にしてはいない。すべての家族が全体として肯定的な環境で暮らすことを目指している」

 ‐雇用主だけが家族保険料を負担するなど企業には厳しい。

 「昨今の困難な経済状況の下、政府は保険料(5・4%)の0・15%引き下げと家族給付の効率化を決めた。企業は競争力向上へさらなる保険料引き下げを求めている。しかし、将来の社会を支える人たちを育てるのが企業文化の核心。子どもを持った親たちが家族給付を受けながら1~3年、育児休暇を取って子育てに専念した後、良い条件で仕事に復帰できるようにすることが企業に求められている。妊娠、出産、子育てを前向きにとらえる社会を推進するのが私たちの任務だ」

 ‐日本にはUNAFと同様の組織がない。

 「日本社会にとって家族は重要という基礎を構築するべきだ。フランスでは世論調査をするといつも、家族が一番重要という結果になる。国家としての永続性を考えると、社会や企業にとって家族の役割は大きい。家族問題は日本の政治でどのあたりに位置づけられているのか。政府が何を重要課題として選択し、対処していくかは政治の問題だが、国民が関心を持たない政策を政治は選ばない」

 ‐日本では年金問題から少子化対策が議論されているが。

 「働く人が年金を支える仕組みはフランスと同じ。人口動態を均衡化させないと破綻する。日本の難しさはよく分かる。家族政策の現状をよく分析し、解決できる仕掛けや態勢を見つけなければならない。社会保障には疾病、老齢、家族の3分野があるが、家族を第一に置いて『改善』を進めてはどうか」

 ●フランス全国家族協会連合 (UNAF)

 1945年、法律によって設立されたボランティア団体。全国約4800の家族問題を扱う組織を代表して、労働組合や企業経営者団体などと一緒に、政府や議会、全国家族手当金庫などに家族の声を反映させ、その政策を監視する。


=2014/12/05付 西日本新聞朝刊=

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