いじめ、不登校…心の支えに 元教師が詩集出版 「学校で役立てて」

 多忙で生徒と向き合う時間をなかなか取れない教師たちが、詩を通して子どもにメッセージを伝えられるように-。東京在住の元中学教諭曽我貢誠(そがこうせい)さん(61)が学校生活で役立ててほしいと、詩集「学校は飯を喰(く)うところ」(文治堂書店)を自費出版した。「今、気を落としているのは誰だろうと考えたら、『命を大切にする教育』に取り組みながらも今年の夏に事件が起こってしまった、長崎県の先生たちじゃないかと思った。九州の先生や生徒にも読んでもらえたら」と話す。

 曽我さんは東京理科大を卒業後、講師を経て、1980~2013年に理科の教師として都内中学に勤務した。在職中は生活指導主任なども務めた。

 30年あまりの教師生活で、年々、研修や人事考課、統計調査、ネットパトロールなど、事務作業に追われる場面が増えたと感じるようになった。「ベテランの先生が辞めてしまったり、若手が他の人に相談できず孤立してしまったり…。先生たちは息苦しさを感じていると思う」。退職を機に、何か先生の役に立つものを書けないかと考え、例えば学級便りに引用するなど「使って」もらえるような詩集制作を思い立った。

 詩は約100編。朝礼や朝の読書といった学校の日常や、いじめ、非行など、さまざまな場面に即したものを考えた。

 「学校へ行けない」という詩では、不登校になった子どもが親に見守られ、やがて〈人の後を追いかける必要はない/別の道を行けばいいのだから/人と比べる必要はない/ぼくは、ぼく自身なのだから〉と気づいていく。また、詩「いじめを見ている君へ」では〈大多数の人の無関心と沈黙と同意が/さらなるいじめを生んでいくのです〉と呼びかけ、一歩踏み出すよう後押しする。

 創作も交えているが、実際の教え子を思い浮かべて書いた。詩集の表題作は、家庭事情により自宅で満足な食事を取れない生徒が言った言葉を、かみしめながら書いた。「詩集が、貴重な時間を子どもとのコミュニケーションに充てる助けになればいい」。1620円。文治堂書店=090(2154)9084。


=2014/12/09付 西日本新聞朝刊=

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