【そもそも講座】改正パート労働法来春施行 苦情窓口設置 企業に義務 勧告に従わぬ社名公表も

 改正パートタイム労働法が来年4月から施行されます。パートタイム労働者は雇用者全体の約3割(1568万人)に達し、改正法は大きな影響を及ぼします。法改正により、経営者はパート労働者に対し、雇用の際に賃金の決定方法などを説明する義務を負い、経営者が厚生労働相の勧告に従わなかった場合に社名が公表されます。改正法の背景と概要を紹介します。

 ●苦情窓口設置 企業に義務 勧告に従わぬ社名公表も

 -どのような労働者が改正法の対象になるの?

 同じ職場で働く正社員や正職員に比べ、会社で定めた所定労働時間が短い労働者全般を指します。「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」など、名称にかかわらず対象です。

 -パート労働者って、そんなに多いんだ。

 2013年のパート労働者は1568万人(1週間の就業時間が35時間未満の労働者数)に及び、5年前に比べ約11%増えています。うち女性が約67%と多いのが特徴です。さらに、1時間当たりの正社員の給与を100とした場合、パート労働者は13年で56・8にとどまります。

 -そもそも、パート労働法の狙いは。

 パート労働者の待遇が、働き方や貢献度に見合ったものになっておらず、正社員などと比べ均等、均衡がとれるようにするのが目的です。07年の大きな法改正を受け、契約時に渡される「労働条件通知書」で特定事項(賞与、昇給、退職金の有無)を明示することが義務付けられ、労働環境の改善に一部、効果があったといわれています。ただ、厚労省による11年のアンケートでは、約54%の人が現在の会社や仕事に「不満・不安がある」と回答。改正法は今春、衆参両院とも全会一致で可決されました。

 -今回の改正で、何が大きく変わるの?

 パート労働者を雇ったり契約更新したりする際、「賃金制度はどうなっているのか」「どのような正社員への転換措置があるのか」など、雇用環境の改善措置について企業側は説明しなければなりません。口頭でも可能です。

 さらに、労働者の苦情に応じる相談窓口を社内に設置し、労働条件通知書に担当者名や連絡先を明記しなければなりません。もちろん、労働者が説明を求めたことで雇い止めされるなど、不利益な取り扱いも禁止されています。「同じ仕事なのに、なぜ給与が低いのか」などと疑問を抱く労働者は多く、厚労省はこれらの措置を「パート労働者の納得性を高める」とみています。

 -そのほかには。

 雇用環境の改善措置について労働者に説明しない企業は、最終的に、厚労相から是正を求める勧告などを受けます。それにも従わない場合は企業名が公表されます。また、親族の葬儀で休んだことを理由とした解雇を「適当ではない」と、改正法の関連指針に盛り込みました。社内で問題が解決しない場合は、各労働局の雇用均等室に相談してみてください。

 ●メモ=職務分析・職務評価とは

 パート労働法の狙いは、正社員と「同じような働き方」をしているパート労働者の待遇改善です。ただ、働き方が同じかどうかは、厳密にいうと簡単に評価するのは難しいです。

 そこで厚労省は「職務分析・職務評価」の実施を推奨しています。職務分析とは、業務内容、必要な知識、部下の有無、権限の範囲などをはっきりさせることです。職務評価は職務の内容について「業績への影響」「代わりの人材がいるか」などを確認し、職務の大きさを点数化することです。社内全体を見渡して、職務の点数が大きいにもかかわらず、給与が低いパート労働者は改善の対象になるでしょう。今回の改正法には「正社員との待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組みなどを考慮して不合理と認められるものであってはならない」という「短時間労働者の待遇の原則」が盛り込まれました。

 各労働局は、職務分析などの具体的な方法について、専門コンサルタントによる無料支援を行っています。


=2014/12/13付 西日本新聞朝刊=

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