性分化疾患、知って 福岡・篠栗町の小牟田さん 体験を語る 「認め合えれば、生きやすい社会に」

「まずは性分化疾患ということがあることを知ってほしい」と話す小牟田真帆さん 拡大

「まずは性分化疾患ということがあることを知ってほしい」と話す小牟田真帆さん

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 出生時に体の発達が典型的な男女とは異なったり、第二次性徴が十分に起こらなかったりする「性分化疾患」。まれな疾患のため、周囲の無理解や疎外感に悩む当事者も多い。「こんな人もいるって知ってほしい」。福岡県篠栗町の小牟田真帆さん(41)は、11月、初めて講演会で自身の体験を語った。

 「ずっと、男と女のはざまで生きてきました」。小牟田さんの戸籍上の性別は男性だが、現在は女性として生活している。

 幼い頃から女の子みたいと言われ、いじめられた。思春期になっても男性器は発達せず、声変わりやひげといった第二次性徴もはっきり現れなかった。「鏡に映る自分の体が嫌で。温泉にも入りづらかった」。中性的な服を通販で購入して着ていた。心身ともに、男にも女にもなりきれず、恋愛もできなかった。

 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)なのではないか-。長年抱えていた思いを家族に打ち明け、昨年初めて専門医を受診し、一度はGIDと診断された。女性として生きる道を選びたいと、ホルモン注射を始めた。

 一方で、男性と女性の中間のような性器や体の特徴に、ずっと疑問を感じていた。医師に相談し、紹介された大学病院の内分泌科で今夏、部分型アンドロゲン不応症と診断された。染色体は男性型なのでアンドロゲン(男性ホルモン)は分泌されるが、受容体が一部しか機能しないため、心身ともに性別があいまいになる疾患だ。

 「ああ、そうだったんだとストンと納得した。ありのままの自分で生きていこうと、すごく楽になりました」。自助グループに入り、悩みを相談できる相手もできた。講演会でも、胸を張って自分のことを話せた。「人は一人一人が違って当然。その違いをわかり合い、認め合えれば、もっとみんなが生きやすい社会になると思う」

 × ×

 「性分化疾患といってもさまざま。性の揺らぎがある人もいるが、そうではない人も多い」。性分化疾患の専門医、国立成育医療研究センター(東京)の堀川玲子・内分泌代謝科医長はこう指摘する。

 出生時に男女の区別がつきにくい場合、センターでは、小児科、泌尿器科、遺伝診療科の医師とチームを組む。さまざまな角度から検討し、親と一緒に戸籍上の性別を決める。体だけでなく、脳の男性化や女性化を予想する必要があり、「判断は難しく、一生を左右するため責任は重い」と堀川さんは語る。

 治療はその判断に基づき、外性器や精巣、卵巣を手術し、必要があれば思春期にはホルモンの補充療法を行う。「家族は隠したくても、本人は本当のことを知りたい場合が多い。どう告知し、精神面をケアするかも課題」という。専門医が少なく、診療に関する文献も乏しい。現在、地域に拠点病院を整備しようという動きが進んでいる。

 堀川さんは「特殊に見られがちだが、病気の一つ。多様性を受け入れる社会の態勢が必要」と話す。

    ×      ×

 【ワードBOX】性分化疾患

 ホルモンや染色体の異常により、染色体や性腺、性器の性別が、男女どちらかあいまいだったり、異なって生まれたりする疾患の総称。疾患数60種類以上、国内の患者数は約6500人と推計されている。新生児期に外性器を見ただけでは男女の判別が難しいケースだけでなく、第二次性徴を迎えるころに初めて気づく場合も多い。


=2014/12/20付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ