親・子+独身きょうだい 2.5世帯同居 現代風に
子育てへのサポートを必要とする共働き夫婦の増加とともに、親世帯と子世帯が同居する「2世帯住宅」はすっかり定着した。最近では晩婚化、未婚率や離婚率の上昇を反映して、シングルの兄弟姉妹も同居する「2・5世帯住宅」が増えているという。
北九州市八幡西区の福井義彦さん(41)、しのぶさん(41)夫婦は2013年8月、しのぶさんの両親と2世帯同居していた築30年以上の実家を、2・5世帯住宅に建て替えた。1階にしのぶさんの父柳瀬信雄さん(69)、母順子さん(64)と妹由美さん(35)、2階に夫婦と長男義人君(10)、次男裕人君(6)の計3世代7人が暮らす。
福井さん夫婦、由美さんは歯科医。福岡市で1人暮らししていた由美さんも「将来、一緒に開業できれば」と加わった。「実家に由美さんの居場所を残してやりたい」という信雄さんの願いも反映された。
玄関、風呂は共用で、キッチンは二つ。普段の食事は別々だが、それぞれの誕生日などに集まることも多い。忙しい福井さん夫婦に代わって、平日に休みが取れる由美さんが子どもたちに勉強を教えたり、遊びに連れて行ったりと「0・5」の存在感は大きい。
「ママ友との付き合い、勉強の話もちゃんと分かってくれるもう1人の母親」としのぶさん。順子さんも「かわいい孫もべったり付き合わされると疲れるけど、負担が分散される」と頼りにしている。
由美さんが姉夫婦と2階リビングでお酒を飲みながら仕事の相談をすることもある。「姉家族を見ていて、仕事と子育ての両立方法、結婚の良さが分かった」とメリットを感じている。
「家族は多い方がいい」(義彦さん)と全員が2・5世帯同居を楽しんでいる。しのぶさんは「話し相手が多くて、それぞれの親子関係、夫婦関係が煮詰まらない」と良さを強調する。
福井さんの家を手掛けた旭化成ホームズ(東京)が「2・5世帯住宅」を商品化したのは12年8月。同社によると、2世帯住宅の約2割を2・5世帯が占める。西日本営業本部マーケティング室長の清田真二さん(49)は「数十年前の日本によくあった同居形態が、現代らしい距離感で復活している。土地を広く取れる九州では浸透しやすいのではないか」と分析している。
=2015/01/06付 西日本新聞朝刊=