【変わる相続税】<1>基礎控除額引き下げ まず資産洗い出し

 税制改正に伴い、今月から、亡くなった人の遺産にかかる相続税が増税されました。課税される対象者が広がり、税金の額が増える人も多くなります。相続する側の負担をできるだけ少なくするにはどうすればよいのでしょうか。九州北部税理士会(事務局・福岡市)の協力を得て、相続税の仕組みや生前に取り得る対策を考えていきます。

 相続税対象の財産はどのようなものがあるのでしょうか。現金以外にも、不動産、株式、国債、貴金属、古美術品、自動車、ゴルフ会員権など、経済的価値があるものは全て該当します。死亡保険金や死亡退職金も相続財産とみなされますが、一定の非課税枠があります。預貯金は残高がそのまま評価されますが、不動産や株式は一定の評価方法により算出されます。墓地や仏壇などは非課税です。

 一方、借金やクレジットカードの未決済分、未払いの入院費や葬式費用などもマイナスの財産として、相続税の計算上考慮されることになります。

 相続税は、こうした相続財産の合計から「基礎控除額」を差し引き、一定の税率を掛けるなどして算定されます。今回の改定ではこの基礎控除額が大幅に引き下げられ、実質増税になるのがポイントです。

 相続税の基礎控除額は定額部分に法定相続人分を足した額。昨年までの「5千万円+(1千万円×法定相続人の数)」が、今年1月から「3千万円+(600万円×法定相続人の数)」と4割縮小されました。

 例えば、妻と子ども2人を残し夫が亡くなったケースでみると、これまでは基礎控除額が8千万円で遺産が8千万円以下なら相続税はかかりませんでしたが、改正後は4800万円を超えると相続税が発生するようになりました=図参照。

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 財務省によると、2012年に全国で亡くなった人のうち相続税の対象は4・2%でしたが、増税後は6%程度になる見通し。西野龍太郎税理士は「自分が死んだ場合に相続税が発生するのか。元気なうちに不動産や預貯金などの資産総額を洗い出して、相続税の申告が必要になるか否かを試算してみては」と助言します。

 試算のやり方としてはまず、法定相続人の数を調べて基礎控除額を計算します。次に相続財産の試算。国税庁のホームページで調べた土地の所在地の路線価に面積を掛けるなどの方法で、土地の評価額を計算します。建物の評価額は固定資産税納税通知書に記載された評価額で、市町村などで調べることができます。

 上場株式の場合は(1)被相続人が亡くなった日の終値(2)亡くなった月の毎日の終値の月平均額(3)亡くなった前月の毎日の終値の月平均額(4)亡くなった前々月の毎日の終値の月平均額-の中から最も低い価額で評価します。

 「土地と建物の評価額の合計が基礎控除額を超えれば、その時点で申告義務がある可能性が高いということになります。下回る場合でも基礎控除額から土地と建物の評価額の合計を差し引いた額より預貯金や株など金融資産が多ければ、申告義務が生じ、相続税を納付しなければならなくなる可能性が大きくなります。大体の見当を付けてもしもに備えてください」と、西野税理士はアドバイスします。


=2015/01/10付 西日本新聞朝刊=

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