ペット信託 殺処分減らせ 行政書士の服部さん 普及へ活動

「ペット信託をライフワークにしたい」と語る服部薫さん。オフィスを兼ねた自宅では、捨て猫など10匹の猫を飼う 拡大

「ペット信託をライフワークにしたい」と語る服部薫さん。オフィスを兼ねた自宅では、捨て猫など10匹の猫を飼う

 自分が死んだらかわいいペットはどうなるか。こんな悩みを解決してくれる人がいる。ペットのために飼育費用として遺産を残す「ペット信託」を専門に取り扱う行政書士の服部薫さん(32)=福岡市。動物看護師から転身。働きながら勉強を続け、2012年9月に開業した。「殺処分されるペットを救いたい」との一念が背中を押す。

 大学1年春の夜。1人暮らしを始めた福岡市のマンションのごみ捨て場にごみ出しに行くと、1匹の子猫が段ボール箱に入れられ捨てられていた。「かわいい。かわいそう」。一度は部屋に持ち帰ったが、ペット飼育禁止のマンション。夜のうちに元に戻した。翌昼のぞくと段ボール箱ごといなくなっていた。

 それから間もなく「殺処分」という言葉を知った。保健所などに保護された捨て犬や捨て猫は、新たな飼い主が見つからなければ命を絶たれる。「もしかしてあの子猫も…」。自分にできることはないか。必死に考えた結果が「動物のことをもっと知りたい」だった。

 大学を1年で中退。専門学校で動物看護師という民間の資格を取得した。動物病院で働き始めたが現実に戸惑う。病院には飼えなくなった犬猫が預けられることがあるが、新たな飼い主を探せないと保健所に引き取られることもあった。「全てを救うことはできない。今は理解できるが、当時は納得できなかった」。2年で病院を辞めた。

 その後、ホームセンターの販売員や事務の仕事を転々。休日は捨て犬や捨て猫の飼い主を探すボランティアを続けた。「ペットへの意識と社会を変えるには法律を知らないと」。5年間、働きながら法律を学び、29歳で行政書士の資格を取った。その直後のセミナーで考案されたばかりのペット信託のことを知る。生前にペットに残したい現金を自ら設立した管理会社に信託。自分の死後、毎月決まった飼育料が会社から新たな飼い主に支払われる‐。「雷が落ちたような衝撃。私が探していたのはこれだって」。講師に直談判して仕組みを教えてもらった。

 13年5月、福岡県の50代の女性が飼う猫について、死後は娘が引き取る契約を手掛けた。国内のペット信託第1号とされる。「ペットの殺処分をなくすため、いろんな人が活動している。私にできるのはこれだと思う」。ペット信託に人生を懸ける。


=2015/01/20付 西日本新聞朝刊=

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