和食の利点 科学的証拠を 病態栄養学会宣言 国内外に発信へ

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産「和食」への関心が高まっている。海外でも注目されるその理由は、健康に良いという点。今月中旬、京都市の国立京都国際会館であった第18回日本病態栄養学会は、和食をメーンテーマの一つに取り上げ、「健康に資する和食」を国内外に発信し、次世代に継承することを柱とした京都和食宣言を採択した。

 宣言はまた、和食の優れた点を見直し、健康維持・増進効果に関する科学的エビデンス(証拠)の蓄積を進めることも呼び掛けた。

 開会直後にあった和食文化についての基調講演・鼎談(ていだん)には、文化遺産登録に向けて中心的な役割を果たした3人が登壇した。

 熊倉功夫・静岡文化芸術大学長は、平安末期~鎌倉初期に作られた絵巻「病草紙(やまいのそうし)」に残る庶民の食卓の様子から「和食の基本的献立となる一汁三菜のスタイルは900年前には成立していたとみられる」と指摘。時代とともに変化しながら伝統的和食が形成されたとした上で、登録された「和食」とは精神、食材、表現、機能などを総合した伝統的食文化と説明。1960~70年代に家庭の常食として充実し、日本人の長寿化を支えたと話した。

 「油脂を中心に料理を構成する国が多い中で、日本だけはうま味が中心。これが低カロリーの要因」と和食の特徴を示したのは、京都の料亭の主人らでつくる「日本料理アカデミー」の村田吉弘理事長。「海外の料理人が日本へ修業に来るなど世界から健康食と認められるようになっている」と話した。

 京都大農学研究科の伏木亨教授(栄養化学)は「油脂の味に対抗できるだしのうま味が重要。その嗜好(しこう)性は離乳期から幼児期に刷り込まれる。子ども時代の食教育が重要だ」と語り、健康に役立つ和食の継承を訴えた。

 「和食を科学する」と題したシンポジウムもあり、魚、大豆、海藻などを取る日本的な食生活が循環器疾患や骨粗しょう症などの予防に有効なことを証明した調査の報告などがあった。

 今集会の稲垣暢也会長(京都大付属病院副病院長)は「無形文化遺産登録によってブームともいえる状況。健康に良い点について科学的な証拠を積み上げ、国内外に発信していきたい」と話した。

 同学会は、治療の基本として栄養管理の重要性を踏まえ、臨床医、栄養学研究者、管理栄養士が疾患の病態を研究し、効率の良い栄養療法の実践と新たな治療法の開発を目指している。今回は全国から約4700人が参加した。

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 【ワードBOX】和食の無形文化遺産登録

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2013年12月、「和食 日本人の伝統的な食文化」を無形文化遺産に登録した。政府は特徴として「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」「栄養バランスに優れた健康的な食生活」「自然の美しさや季節の移ろいの表現」「正月などの年中行事との密接な関わり」の四つを挙げる。


=2015/01/21付 西日本新聞朝刊=

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