【変わる相続税】<2>土地評価減額の面積拡大 親との同居が有利

 相続税を申告した人の相続財産の半分近くは、土地や建物の不動産。不動産は分割や売却が簡単にできないため、相続の際にトラブルになりがちです。今回は不動産の相続について考えたいと思います。

 まず、自宅などを特定の人に残したいと考えているなら、遺言書を作成する方法があります。一定の相続人には最低限相続することができる割合である「遺留分」の定めがあるので注意を。遺言書は形式や要件を不備なく作成することで有効なものとなります。

 「相続した財産のほとんどが自宅なので分割するのが難しい」といった場合には、自宅を相続した人が他の相続人に自分の預貯金などからお金を払って解決することができます。これを「代償分割」といいます。代償分割の資金を、自宅を相続させたい人に死亡保険金で残す方法もあります。

 九州北部税理士会の矢羽田修税理士は「自宅を婚姻期間20年以上の配偶者に相続させるつもりなら、贈与税の配偶者控除を利用して、基礎控除と合わせて最大2110万円までは申告を要件に贈与税の負担なしで、確実に配偶者に財産の移転を行うことができます」と助言します。

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 亡くなった人が住んでいた土地や事業をしていた土地に、高額な相続税がかかってしまうと、同居していた家族が住む場所を失ったり、生活をする手段がなくなったりしてしまうことになりかねません。そこで、生活の基盤となっている土地については、その評価額を減額する特例が設けられています。

 自宅の場合に考えたい対策は「小規模宅地等の特例」が適用される条件を整えることです。この特例では、一定の要件を満たすと、相続する土地の評価額を8割減額することができ、相続税を減らすことができます。

 これまで、減額が適用される宅地の限度面積は240平方メートル以下でしたが、税制が改正された今月から330平方メートル以下に拡大されました。亡くなった人の配偶者が取得した場合は無条件で適用。同居していた子どもが引き続き住み続ける場合も適用されます。しかし、子どもが親と同居せずに自分の持ち家に住んでいて、亡くなった親の自宅を相続した場合には「8割減額」の特例は適用されないので注意が必要です。

 例えば、父親が亡くなり、法定相続人が同居していた3人(母親と子ども2人)という場合で考えてみましょう。父親名義の土地の路線価が20万円、敷地面積250平方メートルなら土地の評価額は5千万円。相続した財産がこの土地だけなら、今月から4800万円を超えると相続税がかかるようになりますが、同居していたので土地の評価額は「5千万円×(1-0・8)=1千万円」となり、相続税は発生しないことになります。ただし、この特例は相続開始日から10カ月以内の申告期限内に自宅を誰が相続するかを確定させ、相続税を申告することが要件となっているので注意が必要です。

 自宅以外の土地では、亡くなった方が事業をしていた土地の場合も8割減額の特例があり、生前に、賃貸マンションや賃貸アパートを建てて貸していれば、200平方メートルまでは土地の評価額を5割減額できます=表参照。ただ、矢羽田税理士は「借り入れをしてマンションやアパートを建設する場合は負債も相続されることになります。空室で家賃収入が集まらないなど事業にはリスクがつきものなので、十分に検討し、慎重に事業計画を練ってください」と注意を呼び掛けます。


=2015/01/17付 西日本新聞朝刊=

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