『小倉織復元30周年 築城則子-縞の今-』 北九州市立美術館発行 (2700円)
幅35センチの帯に2200本もの経糸(たていと)が使われているという。全国でその名を知られながら、昭和初期に衰退し「幻の布」と呼ばれていた小倉織(こくらおり)。本書は、30年前に小倉織を復元した染織家築城(ついき)則子さん(北九州市在住)の作品集だ。
本を開くと、帯がページいっぱいに大写しで現れる。高密度の経糸は、天から地へ伸びる縞(しま)となり、眼前に力強く迫ってくる。一方で、かすかな色糸が織りなす繊細なグラデーションは、無限の空間を演じているよう。めくるたびに広がる幻想的な美しさに、息をのむ。
「本自体も作品」と、高精細のカメラで撮影され、デザインも印刷も細部までこだわって制作された。100点を超える帯と着物を収録。発売元は西日本新聞社出版部。
=2015/02/01付 西日本新聞朝刊=