【生きる働く】中高年男性 再就職は介護の世界 深刻な人手不足続く現場 就職難、増える希望者

グループホームの入居者がおやつを食べるのを介助をする古賀洋二さん。やりがいを感じる日々だ 拡大

グループホームの入居者がおやつを食べるのを介助をする古賀洋二さん。やりがいを感じる日々だ

 再就職活動で、介護職を目指す中高年男性が目立っている。景気は回復基調にあるとはいえ依然、中高年の再就職を取り巻く環境は厳しい。半面、介護サービスは深刻な人手不足が続いており、「長く続けられる安定した仕事」として注目されているようだ。

 「面接までこぎ着けても年齢が壁になって、ことごとく落とされた」。コンピューター関連のエンジニアだった男性(53)は言う。

 2年前に失業。妻と小学生の子ども2人との生活がある。すぐに再就職活動を始めたが、面接を受けても「あなたよりずっと若い人が上司になります。大丈夫ですか」と諭された。6社全てから不採用を通知された。

 雇用保険の失業給付も切れて途方に暮れていたとき、ハローワークの窓口で紹介されたのが月10万円の生活費をもらいながら、無料で職業訓練が受けられる国の「求職者支援制度」だった。IT、営業・事務…。六つのコースから「介護」を選んだ。

 「超高齢社会で需要が減ることはない。景気にも左右されない」。昨年5月から、かつてのヘルパー1級に相当する「介護職員実務者研修」を受講。今春から、介護施設で働けるよう勉強を重ねている。

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 この男性のように、中高年男性で、再就職先に介護を目指す人が増えているという。

 この制度のもと、介護訓練を国から受託している福祉研究カレッジ天神校(福岡市)の高木宏次事務局長は「制度が始まった2011年当初は女性の受講者が大半だったが、今は40代以上の中高年男性が6割を占める」と指摘する。

 同校が中高年男性に受講理由を聞いた調査でも、「介護士不足と聞き、おやじでも役に立てると思った」(55歳男性)「30社ほど面接を受けたが全て不採用。介護職は就職活動に有利」(元営業職男性60歳)など、介護業界の人手不足を挙げる回答が目立った。

 実際、6コースのうち、全国で就職率が最も高いのが「介護福祉」。12年度が84・7%、13年度が87・5%で、それぞれ6コース平均の79・5%、84・2%を上回っている。

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 厚生労働省によると、2014年平均の全体の有効求人倍率は1・09倍と人手不足の状態。ところが、年齢別にみると40~44歳は0・94倍、45~49歳0・88倍、50~54歳0・88倍などと、40代を超えると人手が過剰になる。

 一方、介護職の人手不足は深刻だ。全職業の全国平均の有効求人倍率(14年12月)は1・15倍だが、介護職の全国平均は2・67倍と2倍を超えた。こうした現状は中高年の再就職活動に大きな影響を与えている。

 介護訓練を修了し、今年1月末から福岡市東区のグループホーム「愛・あい」で働く古賀洋二さん(44)は大手化学会社の元工場長。工場が閉鎖して失業した。「お年寄りをベッドから抱え上げるなど身体介護は力仕事。同僚の女性職員からありがたがられます」とやりがいを感じている。


=2015/02/21付 西日本新聞朝刊=

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