食物アレルギー 給食への備え<上>除去食 個別懇談で確認 医師の「指導表」提出を

 間もなく4月。食物アレルギーがある子どもの保護者にとって、入学、入園後の給食に対する不安は小さくない。食物アレルギーに対する心構えを、2回にわたり紹介する。

 給食での誤食事故を防ぐには、食物アレルギーの原因食材(アレルゲン)を口にしないことに尽きる。だが、アレルゲンを取り除いた「除去食」を給食で用意してくれるかどうかは、学校や保育所がある市町村によって異なる。

 また、どのアレルゲンで食物アレルギー症状が出るかは人それぞれだ。乳幼児期に多い卵、小麦、乳製品の三大アレルゲンのほかにも、エビ、カニ、そば、ピーナツ、大豆、米など多品目にわたる。給食の除去食でどこまでアレルゲンを取り除くかも、各市町村の判断に委ねられる。

 だからこそ、自分が通う学校や保育所の給食は除去食が用意されるのか、除去食ではどのアレルゲンを取り除いてもらえるのか、事前に知っておかなければならない。全体説明会だけでなく、個別の懇談を重ねて準備したい。

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 教育、保育現場での食物アレルギー対策は、それぞれ文部科学省と厚生労働省が指針やガイドラインで示している。共通しているのは、保護者が医師の診断に基づき、食べられない食材や発症形態を記す「指導表」を学校や保育所に提出するよう求めていることだ。

 「どの子どもがどんな食材を食べることができないか、把握することが誤食事故を防ぐ基本になる。保護者に必ず指導表を提出してもらうよう徹底してほしい」と、両省の担当者は口をそろえる。

 指導表は全国統一の書式で、全国すべての小中高校や認可保育所を管轄する市町村に配布されている。ただ、指導表の提出を義務付けているか、どう活用するかは各市町村に委ねられている。

 福岡市や北九州市など一部自治体では、指導表を学校側に提出しないと給食での除去食に応じなかったり、重篤な発作を起こす子どもに対処する自己注射薬の提出・管理方法を決めたりした独自マニュアルを策定しているが、マニュアルを策定していない市町村も多い。その多くは、弁当持参を求めている。

 東京都調布市の小学校で2012年、乳製品にアレルギーがある小5女児が粉チーズが入ったチヂミを食べてショック死した事故を受け、文科省はこれまでのガイドラインを強化した指針を今月策定した。全市町村にマニュアルをつくるよう求めている。

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 調布市の事故の影響からか、何種類もの除去を求める保護者が増えている。しかし、学校や保育所が保護者の「思い込み」や「念のため」に基づいて求める除去に追われると、重症な子どもへの対応がおろそかになり、事故を招く危険性が増す。

 食物アレルギーに詳しい福岡女学院看護大(福岡県古賀市)の西間三馨(さんけい)学長は「成長に伴ってアレルゲンへの耐性を獲得し、食べられなかった食品が食べられるようになる例は多く、年に1度は医療機関を受診しながら指導表を更新してほしい」と話す。

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 次回(20日掲載予定)は最新の検査や治療の現場を紹介し、医療機関を受診する際の注意点について考える。

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 【ワードBOX】食物アレルギー

 卵、乳製品、小麦など特定の食べ物を食べたり、触れたりすると、免疫機能が過剰に反応して有害な症状が出る。症状は、じんましんや下痢、呼吸困難などさまざま。血圧低下や意識障害など急性症状「アナフィラキシーショック」が起きた場合は、血圧を上げる自己注射薬(商品名・エピペン)を30分以内に打つことが求められる。


=2015/03/13付 西日本新聞朝刊=

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