乳がん 治療の日々 記録 福岡の馬場さん写真展 「患者の力に」

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「写真を見て、希望を持ってもらえたらうれしい」と語る馬場さおりさん

抗がん剤治療で髪や眉毛が抜け落ちてしまった馬場さん 抗がん剤治療の痕跡が残る爪

 福岡市の馬場さおりさん(36)が30日まで、写真展「2・7%~若年性乳がんを発症した私~」を東京都新宿区の新宿ニコンサロンで開いている。馬場さんは昨年1月に乳がんと診断されて以降、治療の日々を写真で記録。手術した胸の傷痕や回復後の日常を写した48点を公開した。「同じ患者が周りに少ないため、悩みを抱えて孤立しがち。少しでも知ってもらうきっかけになれば」と願っている。

 違和感に気づいたのは、ベッドの上でうつぶせに寝転がり、パソコンを広げたときだった。「なんか痛い」。触ってみると、左胸の上にしこりがあった。受診した乳腺外科で病名を告げられても「まさか私が」と信じられなかった。

 乳がんは、女性に最も多いがんだ。年間6万人以上が新たに診断され、この30年間でその数は5倍と増加している。日本乳がん学会の解析では、患者は40~50代が最も多く、35歳未満の若年性乳がんは約2・7%。自治体の乳がん検診の対象は40歳以上のため、若年性の患者は自分で気づくケースがほとんどで、そのため、他の年代と比較してがんが進行しているケースが多い。

 「初めて死を意識したけれど、怖いと思う余裕はなかった」。2週間後に、乳房の部分切除をすることが決まったからだ。傷痕はどうなるのか。術後はどんな治療をするのか。妊娠や出産への影響はどうか。同じ悩みを分かち合える相手がいない中、参考になったのは若年性乳がん体験者がつづったインターネットのブログだった。

 「どんな治療をするかの選択が、恋愛や結婚、出産などこれからの生き方にまで大きな影響を及ぼす。他の人の体験談を読んでとても励まされたから、私も何か記録に残そうと思ったんです」。九州産業大大学院で写真を勉強中だったこともあり、三脚や鏡を使って自身の写真を撮り始めた。

 手術後も抗がん剤治療、放射線治療と苦しい日々が続いた。髪だけでなく、眉毛もまつげもすべて抜け落ちた。だが、再び髪が生えてきたとき「元気に戻ったんだって、心の中の霧がすっと晴れた」。美容室でエクステを着けてもらい、友人と遊びに出かけるようになった。3週間に1回病院で治療を続けながら、4月からは大学院の博士課程に進学する。

 この1年間で撮影した写真は数万枚に上る。治療中の乳房や体毛が抜けてしまった状態の写真も今回、展示した。飾らない、ありのままの姿を見てほしいとの思いからだ。

 「1年でこんなに回復するんだと、希望を持ってもらえたらうれしい。女性は自分で乳房をチェックし、定期的に検診を受けてほしい」


=2015/03/27付 西日本新聞朝刊=

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