制度知らぬまま孤立していませんか ひとり親家庭 住居、子育て、就労… 今ある支援策活用を

 ひとり親家庭の子どもが被害に遭った川崎市の中1男子殺害事件で、被害生徒の母親は仕事や家事に追われてわが子を守ってやれなかったことを悔いているというコメントを公表した。事件は、ひとり親家庭の生活の大変さも浮き彫りにし、より充実した支援策が求められるが、支援の現場には「制度が十分知られていない」とのもどかしさもある。あらためて支援策を紹介したい。

 NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福岡(福岡市)など全国のひとり親支援団体は、川崎の事件を受け「いつ私たち親子に起こってもおかしくない事件」と、子どもの育ちを保障し居場所を広げる支援を求める声明を出した。

 ひとり親、特にシングルマザーの中には「働いても働いても生活が楽にならない」という実感がある人が多いようだ。離婚やDV(配偶者や恋人からの暴力)で新たな住居を探さなければならない、子育てを頼る人がおらずフルタイムの仕事が見つけにくい、相談する時間も心の余裕もない…。同法人の大戸はるみ理事長は「今の制度で十分とはいわないが、それすら知らずに孤立している家庭は多い。行政の窓口や民間支援団体に気軽に相談してほしい」と話している。

 支援策を収入、住居、就労の観点からみていく。

 ◇収 入

 ひとり親家庭の自立を支える基本になるのは児童扶養手当。親子2人世帯のモデルでは、おおむね年収が130万円未満なら満額支給される。現在の満額は月額4万1020円だが、4月から月額4万2千円に上がる。年収130万円以上~365万円未満は月額4万1990円~9910円の一部支給。年収365万円以上は支給されない。

 従来は公的年金を受給していれば児童扶養手当はもらえなかったが、昨年12月分から年金額が児童扶養手当額より低い人は、差額分の児童扶養手当を受給できるようになった。児童扶養手当は毎年4、8、12月に前月までの4カ月分が支払われる。改定後初の支払いは4月になるので、不明な点は市町村に尋ねよう。

 ◇住 居

 市や県などの公営住宅は低料金だが希望者が多くなかなか入居できない。ただ、抽せん倍率を上げる優遇措置がある例は多い。UR都市機構では保証人がいらない代わりに所得基準を設けて入居を審査しているが、ひとり親家庭は基準が緩和される。

 ◇就 労

 4月スタートの「子ども・子育て支援新制度」では民家やマンションで少人数を預かる小規模保育や家庭的保育などが新設される。「どうせ認可保育所は満員だから…」と最初から諦めず市町村に尋ねよう。

 安定した職に就くための公的な就労支援策は多岐にわたる。「高等職業訓練促進給付金」は看護師や保育士など国家資格を取得するための学費や生活費として月額10万円を2年間支給。ハローワークのOBらが生活状況を把握しながら個別の支援策を策定する「自立支援プログラム」もある。しかし国の支援事業のうち何を採用するかは市町村に任されるため、住んでいる市町村に確認しよう。


=2015/03/28付 西日本新聞朝刊=

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