区役所で暴言、病院で診察拒否… 障害者理解 道半ば 福岡市の団体調査

障害者の「差別」体験をまとめた報告書を手にする向井公太さん

 入園や受験を拒否された、公共機関で暴言を吐かれた…。福岡市の約40の障害関係団体がつくる「福岡市に障がい者差別禁止条例をつくる会」が実施したアンケートで、障害がある人たちが不快な思いをしたり、社会参加を諦めてしまったりする「差別」が根強い実態が浮かび上がった。同会副代表の向井公太さん(66)は「無理解や偏見からの何げない行動が、障害者を深く傷つけることがあると知ってほしい」と呼び掛けている。

 同会は2013年8月に発足。障害者への差別の実態を明らかにするため、昨年4~7月に加盟団体やホームページなどを通じ、福岡市在住か同市に通勤している障害者を対象に、障害があることを理由に「嫌な思いをした」「悔しい思いをした」「理不尽な対応を受けた」「不利益に扱われた」体験を聞いた。「10歳未満」から「70歳以上」の1148人から、1132件の事例が寄せられた。

 身体・精神・知的障害などの当事者、家族、弁護士などで回答を分析し、3月に報告書と回答集をまとめた。寄せられた体験を「直接差別」「(障害者の権利を保障する)合理的配慮の不提供」「暴言・嫌がらせ・虐待」「無理解・偏見」などに分類した。

 例えば、区役所での手続きで記入の仕方を質問すると「あんたたちのことだろう。分からないなら手続きできない」と言われた(知的・身体障害)▽事業所職員から首を絞められたり、暴言を吐かれたりした(脳性まひ)▽風邪で内科を受診したら診察を拒否された(精神障害・統合失調症)-など、障害者への理解があるはずの医療・福祉の場での体験が目立った。同会は「業務として当事者に接している福祉窓口担当者、施設職員などからの暴言や虐待を受けた事例は看過できない」と、特に問題視している。

 この他にも、交通機関や教育現場、職場、飲食店など、日常生活のあらゆる場面での体験が多数集まった=表参照。向井さんは「障害者は差別や精神的苦痛を受けても声を上げられず、外出や社会参加を自己規制してしまう。障害の種類を超えて、千以上の訴えが集まった報告書は貴重」と話している。

 明らかになった実態を踏まえ、報告書では「社会の隅々まで障がい者の権利についての理解が行き届き、機会の均等が真に保障されるような具体的取り組みが求められている」と提言。鹿児島、長崎、熊本各県などで制定されているような障害者差別禁止条例の制定を求めている。

 報告書は福岡市の行政機関や小中学校などに1300部を配布。同会ホームページでも読める。同会=092(713)1353。 


=2015/04/02付 西日本新聞朝刊=

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