【和食力】旬のレシピ 湧くワク 管理栄養士目指す 中3・吉原さん 食で四季楽しむ

「旬を味わうのが和食の魅力」。筑前煮を器に盛る吉原葵さん 拡大

「旬を味わうのが和食の魅力」。筑前煮を器に盛る吉原葵さん

 「新ゴボウは甘味があって大好きです」。得意料理という筑前煮を吉原葵さん(14)=中学3年=が器に盛ってくれた。口に運ぶとゴボウやレンコンなど素材の味がくっきり。春の香りとうま味が広がる。どうしたらこんな筑前煮になるんだろう。

 「干しシイタケの戻し汁を使って煮込むとか、鶏もも肉からあくが出るので丁寧に取るとか。アルミホイルを落としぶたにして煮込むかな。切ったゴボウ、レンコンは酢水にさらしておきますね」。説明はよどみない。

 旬を味わい、四季を楽しむのが和食だと思う。「年中行事のレシピがあったり食材に旬があったり。食べることで四季を感じることができるでしょう」

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 母の宣子さん(41)の影響もあって幼いころから包丁を握り、食べることも大好きだった。幼稚園の七夕行事で短冊に書いた願いは「サザエが食べたい」。小学生になると商業施設の食のイベントに家族でよく出掛け、料理コンテストにも出場するようになった。中村学園女子中学(福岡市城南区)に進んだのも管理栄養士になるという明確な目標があるからだ。

 授業の調理リポートも四季にこだわる。7月に提出したのは「七夕そうめん」。具材は夏野菜のキュウリやナスを星形にかたどり、その数7種類。薬味は大好きな梅干しにした。

 今年1月、漬物の日本一決定戦T-1グランプリには授業で習った郷土料理「あちゃら漬け」を出品した。ゴボウ、ニンジン、レンコン、干しシイタケを砂糖、薄口しょうゆ入りのだし汁でさっと煮て、さらに砂糖、酢、薄口しょうゆを入れて煮た後、軽く塩を振っておいたカブとナスを入れて染み込ませる。普通は夏のメニューだが、冬野菜のカブを入れた。水分をしっかり切って入れるなどの助言も担当教諭から受け「カブのうま味を引き出した」との評価で九州チャンピオンに輝いた。

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 吉原さんにとって和食は日常にある。家の食事も「母が忙しいときなど普通に作る」。朝食の定番は、いりこだしのみそ汁に卵焼き、野菜のおひたし。いりこのわたをまとめて取るのは休日、家族一緒にワイワイ言いながら済ませ、密閉容器で冷蔵庫に保管する。

 2年前、米国の親戚宅に1カ月滞在したとき、連日のコンソメと油に参った。「魚介類で取っただしの料理が食べたくてたまらなかった」

 身についた和食への関心は郷土の野菜にも広がった。アブラナ科の「博多な花(ばな)」がお気に入りだ。ゆでて細かく刻み、つぶしたジャガ芋に混ぜてコロッケにする。「隠し味のバターで苦みも和らぐ。春の香りを楽しんで」

 移ろう四季を味わう和食の魅力が吉原さんを夢中にさせる。「そろそろアサリかな」。料理に旬を閉じ込める次のレシピ作りに頭の中はフル回転している。

 〈筑前煮〉福岡県の郷土料理。がめ煮とも。吉原さんのレシピは4人分、材料はすべて一口大に切る。ゴボウ1/2本とレンコン1節は酢水にさらす。鶏もも肉1枚分を、塩ひとつまみを入れてフライパンで炒め、いったん取り出す。鍋にゴボウ、ニンジン1本、タケノコ1節と鶏もも肉も戻し入れて炒め、続いてレンコン、里芋小12個、干しシイタケ4枚、こんにゃく1枚を混ぜ合わせる。だし(干しシイタケの戻し汁)400ミリリットルに砂糖、みりん、酒を各大さじ2、しょうゆ大さじ3を入れて落としぶたをして弱火で15~20分、あくを取りながら煮込む。皿に盛り、ゆがいたスナップエンドウを添える。


=2015/04/08付 西日本新聞朝刊=

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