【信仰×新考 うるおいプラス・心】かわいい神社 女性続々 ピンクの壁、ハートの鳥居… 縁結び伝統と現代 融合

新築された竈門神社のお札、お守り授与所。曲線を用いてデザインされ、優しい雰囲気になっている 拡大

新築された竈門神社のお札、お守り授与所。曲線を用いてデザインされ、優しい雰囲気になっている

ハートが10個デザインされた鳥居がある恋木神社

 ●太宰府・竈門神社、筑後・恋木神社 
 境内の整備などがきっかけで、参拝者が増えている神社が福岡県内にある。太宰府市の竈門(かまど)神社と筑後市の恋木(こいのき)神社。「かわいい」「ハート形」など、いずれも神社に縁がなかった女性たちをも引きつけているようだが、二つの神社を訪ねると、それだけではない魅力も伝わってきた。

 緑豊かな宝満山の麓にある竈門神社。石段を登ると、右側にガラス張りの近代的な建物が見えてくる。2012年に新築された同神社のお札、お守り授与所だ。円卓には色とりどりのお守りが並び、女性参拝者たちが楽しそうに選んでいる。壁はピンクの大理石で、天井などには桜の花びらのモチーフがちりばめられている。従来の神社とは異なる「かわいい」イメージだ。

 縁結びの御利益で知られる同神社は、創建1350年を迎えるにあたり、3年前に境内を整備した。授与所は、ユニクロの海外旗艦店などを手掛けたインテリアデザイナーで武蔵野美術大教授の片山正通さんがデザイン。神社が注文したのは「100年後のスタンダードを考えてほしい」ということだった。

 リニューアル前の参拝者は年平均で約30万人だったが年々増え、昨年は約60万人と倍増した。リピーターも多いという。長女(22)と訪れた同県久留米市の女性(50)は「お守りの見せ方がかわいくて娘が喜ぶと思って」。神社としての歴史と格式を感じ、「新しさもあって親しみやすいのがこの神社の魅力」と思ったという。

 権禰宜(ごんねぎ)の森太郎さん(38)は、参拝者が増えたことについて「理由は一つ二つじゃない」と言う。「片山さんにデザインしていただいたことや、縁結びという時代のニーズもある。職員がお守りの袋や名刺カードを作るなどの細やかな工夫もある。新しいものと1350年の伝統がしっかりと結びついていることも共感を呼んでいる理由の一つでは」と推測する。

 福岡大人文学部の白川琢磨教授(比較宗教学)は「竈門神社は修験者の代表的な霊地だった。今、若い人が押し掛けているのはスピリチュアルなパワーを感じさせる、霊地だからではないか」と指摘する。

 伝統と新しいものが融合し、過去、現在、未来という「縦軸」の時間を体感できる。人々を引きつけるのはそうしたところなのだろうか。

 同じく縁結びの神社として知られる恋木神社は、菅原道真公が都に残した人たちを思う心を慰めようと御祭神に「恋命(こいのみこと)」を祭り、鎌倉時代に建立されたといわれている。

 同神社によると、約20年前にハートの形をした陶板が並ぶ「恋参道」を境内に整備したことなどが話題を呼び、参拝者は年々増えている。参拝者の間では「鳥居の中にあるハートを10個探すといいことがある」などの験担ぎもあり、全国から年間約10万人が訪れている。

 佐賀県小城市から友達と来た看護師の女性(23)は「ここにお参りして恋愛成就した友達がいて、私もお願いしに来ました」と真剣な表情で語った。ハートを探すというゲーム感覚の楽しさの裏にあるのは、「御利益をかなえてほしい」というシンプルな願い。それはいつの時代も変わらないのかもしれない。


=2015/04/10付 西日本新聞朝刊=

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