【生きる働く】演劇で就労へ一歩 生活困窮者 会話や人間関係学ぶ

 演劇関係者でつくるNPO法人「アートマネージメントセンター福岡」(福岡市、AMCF)が、元ホームレスや離職者など生活困窮者への就労支援に取り組んでいる。人とコミュニケーションを取るのが苦手で離職したり、再就職先が決まらなかったりする例は多い。人との関係性を取り戻し、定職につなげる演劇の手法とは。

 福岡市の雑居ビルの一室に、離職中の中高年男性3人と演劇関係者4人が車座になり、カードゲームをしていた。

 話題は「今日はよい天気ですね」。

 -だから
 「散歩してみようかな」
 -そうは言っても
 「まだ肌寒いですね」
 -例えば
 「…」

 接続詞が書かれた7枚のカードを裏返し、思いついた言葉をつないでいく。会話をつなげることに主眼を置いたプログラムで、演劇では一般的な手法だ。

 「会話がつながっていくのが楽しかった」と30代男性が言えば、40代男性も「同じキーワードでもいろんな発想をするんだ」とうなずく。進行役の演劇関係者は「人は一人一人違うことを認識すれば、うまくやっていける」とまとめた。

 AMCFの糸山裕子代表(54)は「衣食住の次の段階にある就労支援は幅広い分野の人がかかわる方がよい」と考えている。生活困窮者の就職活動を支援する「福岡市就労自立支援センター」の取り組みの一環として4年前から実施し、約250人が受講した。

 この活動を研究する活水女子大(長崎市)の古賀弥生教授(アートマネジメント論)は、演劇の効果を(1)集団で行うので人とのつながりを取り戻す(2)人に見せることで自分の言動を客観視できる(3)守られた「うそ」の世界で生き方の練習ができる-と分析する。

 「ありのままの自分でなく、ありたいと願う姿を演じることで理想像に近づき、円滑な人間関係を構築できるのではないか」と糸山代表。運営費の多くは企業財団の助成金で賄っている。AMCF=092(752)8880。


=2015/04/14付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ