鍵は風力 洋上風力 九州に潜在力

 再生可能エネルギーのうち高い可能性を秘めた洋上風力発電の実用化に向けた動きが、九州で加速している。環境省などが2013年度から、福岡、長崎両県の計3カ所で実証試験を本格化。適度な風が吹く九州周辺には「潜在的な適地」が日本全体の3割近くを占め、九州電力が保有する発電能力の約17倍に達する計算。陸上の風力発電は適地が限られるが、洋上なら大規模に展開でき、将来の原発の代替として期待がかかる。

 ◆適地発電 九電総出力の17倍

 長崎県五島市の離島、椛島沖。水深100メートルの場所で、海に浮かべた直径22メートルの風車が回る。最大出力は100キロワット。全国で数少ない「浮体式洋上風力発電」の試験機だ。

 洋上では土台を海底に置く「着床式」より、安定した風が吹く沖合に設置できる「浮体式」の方が効率よく発電できる。

 「試験は順調」と、事業主体の環境省地球温暖化対策課。8月にもいよいよ2千キロワット級の大型設備も構える。16年ごろからの実用化を目指す。

 9日には椛島を、石原伸晃環境相が訪れた。石原氏は「20年に洋上風力の能力を全国で100万キロワット以上にしたい」と新たな目標を掲げてみせた。

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 環境省によると、国内で風速6・5メートル以上となる洋上風力の適地にすべて発電機を設置した場合、出力合計は推定13億8340万キロワットに上る。太陽光の潜在的な出力の9倍強だ。九州は、このうち3億6592万キロワットと約26%を占め、現在九州電力が保有する発電所の出力(2063万キロワット)の約17倍に及ぶ。洋上風力は発電施設を設置するのに時間を要するものの、その潜在力は他の再生可能エネルギーを圧倒している。

 九州の場合、適地の約86%で浮体式が必要となる。水深がある海に囲まれた日本にとって、浮体式技術の確立が洋上風力普及の大きな鍵となる。

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 洋上風力の実証試験は、福島、千葉両県沖などでも行われているが、3カ所が集中する九州のような地域はない。

 長崎県五島市のほか、福岡市の博多湾では九州大が浮体式の試験設備を11年末に設置。浮体に太陽光パネルを設置したり浮体を漁場として使ったりする独自の「洋上浮体式エネルギーファーム」の実現を目指し、今後は大型化などを急ぐ。

 北九州市沖では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが、欧州で先行して普及が進む着床式の実証試験を準備中。現在、国内最大級となる2千キロワットの施設の設置工事をしており6月ごろには本格稼働する予定。九州から再生可能エネルギーの未来が開けるか-。

 (竹次稔、柿森英典)

=2013/03/20付 西日本新聞朝刊=

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