【九電 九州考】(7)「もたれあい」許せぬ/「国の責任」問い直せ 読者の声

年末年始にもかかわらず、連載「九電九州考」に対しては、メールやファクス、手紙、電話で多くの意見が寄せられた 拡大

年末年始にもかかわらず、連載「九電九州考」に対しては、メールやファクス、手紙、電話で多くの意見が寄せられた

 やらせ問題で揺れる九州電力と地域のエネルギーの在り方について考える連載「九電 九州考」と特集「九電大解剖」(昨年12月30日―今年1月6日付朝刊)には、多くの読者から意見が寄せられた。九電の企業体質に対する批判、国のエネルギー政策への不信、メディアへの疑問…。立場や主張はさまざまだが、九州を代表する公益企業の在り方、地域の将来を真剣に考え、悩む姿がうかがえた。

 目立ったのは原発や主要発電所を抱える自治体と、九電の「もたれあい」に対する厳しい見方だ。

 「九電の体質が全く変わってないことに驚いております」。昨年末も佐賀県玄海町幹部と玄海原子力発電所幹部による恒例の忘年会が行われたことについて、福岡県糸島市の男性はそう記した。「九電の企業風土そのものに大きな問題があります」とする一方、原発再稼働の判断を立地自治体の首長に委ねていいのか疑問を呈した。

 数年前まで民間企業のコンプライアンス(法令順守)部門を担当していたという同県久留米市の男性も「酒席の場は、たとえ割り勘であろうと厳禁であろう」と指摘し、九電の社内教育にも首をかしげた。

 国の電源立地交付金とは別に、九電から発電所立地自治体に寄付金の形で計127億円が支払われていた実態にも関心が集まった。「多額の寄付金、社員の福利厚生費までが私たちが払う料金からと知り怒り心頭です」(男性)、「寄付行為は禁止すべきだ」(福岡市中央区の男性)といった意見があった。

 別の見方もあった。「地元対策費が電気料金からの不法支出のような論調にみえるが、社会運営上、どうしても必要な迷惑設備があります」と69歳商店主。福岡市の夫婦も「九電をどうしたいのか、エネルギー問題をどう考えているのか」と、電話で本紙の記事に疑問を投げかけた。

 九電社員の家族という読者は「電力会社の社員はそんなに悪いことばかりしてきたでしょうか。(中略)社員イコール犯罪者ではない事をわかってください」とファクスに記した。

 九電社員を名乗るメールも寄せられた。

 政府が検討している電力会社の発電部門と送電部門の分離について「概(おおむ)ね賛成」とし、「新規会社に火力発電所は任せて原子力を電力会社(もしくは国)が運営すれば、負担軽減で競争力アップだ」。さらに「寄付金、迷惑料の支払い(お金に群がってくる地元団体、自治体)が少なくなれば、コスト低減で万々歳」とした上で、次のような“本音”を記した。

 「これまで国に代わって地域(田舎)経済の安定化を図ってきた電力会社も競争力強化を図るわけですから、後から地域経済が壊滅、格差が拡大されたと文句を言わないようにお願いします」

 電力会社の今後についても意見が割れた。「発電と送電は分離すべきだ」(宮崎県日南市の男性)など、電力の全面自由化論が目立ち、「九電を解体し、公営企業等公的機関に変更すべき」(佐賀県鳥栖市の男性)という声も。

 一方、「PPS(特定規模電気事業者)が電力を支配する状況になれば、山間部や離島に安定供給できるのか」と、地域独占体制の見直しに疑義を示した会社員男性は「原発を推進してきたのは国自身だ。国の責任を明確にするべきではないか」。福岡市の40代男性も、原発の安全審査に携わる政府の原子力安全委員会幹部が原子力関連企業から寄付を受けていた実態に触れ「まずは電力よりも政府にもの申すべきではないでしょうか」と批判の矛先を国に向けた。

 電力会社の姿はどうあるべきか、原子力をどうするのか-。震災、そしてやらせ問題は、市民の関心を呼び起こした。地域の将来とも密接に関わり合う。議論は続く。

 福岡市西区の男性は指摘した。「今からでも遅くないと信じ、エネルギーの在り方、生活の質の在り方など自問自答する機会ととらえます」

 =おわり

=2012/01/07付 西日本新聞朝刊=

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