【問う語る】(4)の1 自然エネ「原発並みの投資を」 新地哲己・芝浦HD会長

▼しんち・てつみ1971年、北九州市内の工業高校卒業。77年から家電販売業を始め、2002年に太陽光パネル関連事業をスタートさせた。福岡県川崎町出身。 拡大

▼しんち・てつみ1971年、北九州市内の工業高校卒業。77年から家電販売業を始め、2002年に太陽光パネル関連事業をスタートさせた。福岡県川崎町出身。

 九州電力など電力各社に太陽光、風力、地熱などで発電された電力の全量買い取りを義務付け、自然エネルギー普及を促す再生可能エネルギー特別措置法(再エネ法)。7月の施行を控え、太陽光発電を中心に「自然エネルギービジネス」が沸いている。メガソーラー(出力千キロワット以上の太陽光発電所)建設にはソフトバンクや大和ハウス工業など大企業から中小企業の集団、米国のメーカーまで参入を表明した。

 「思ってましたよ。いつかこんな時代が来るだろうって」

 昨年から福岡県嘉麻市と熊本県南関町で出力計5500キロワットのメガソーラーの建設に乗り出した芝浦グループホールディングス(北九州市)の新地哲己会長(58)は、自信たっぷりに語る。物腰がパワフル。年内に九州の数カ所でメガソーラーを建設する計画だ。太陽光は「脱原発依存」の救世主になり得るのか-。

 「いやあ、まだ建てますよ。中小企業にも大きなチャンスですから」

 子どものころ、炭鉱で働いていた父は友人の保証人倒れで借金を抱えた。自分はアルバイトで自活するしかなかった。特待生で通った高校を卒業後、曲折を経て住宅設備業者に。2004年からソーラーパネル搭載型マンションに取り組み、折からのエコブームに乗って売り上げを伸ばした。

 「生きるために苦労しましたから。だから知恵が湧いてきたんですよ。私は今、その知恵で太陽光発電所の建設をやっているんです」

 建設にはスピードが問われるという。再エネ法施行後3年内に発電所を建設すれば、一定の価格で必ず電力を買い取ってもらえる優遇策があるからだ。

 昨年10月、嘉麻市山間部の工場跡地であったメガソーラーの着工式には、長年の取引相手だというシャープのほか、サムスン(韓国)、ハンファ(同)の日本法人の幹部クラスが詰めかけた。設備はこれらのメーカーから大量購入して価格を徹底して抑えるという。

 ただ、まだ再エネ法に基づく買い取り価格が決まっていない。買い取り価格が高ければ、業者の収益がアップするため、太陽光発電事業に参入しやすくなる。半面、買い取り価格は、電気を利用する人たちの電気料金に上乗せされる。

 「国はふーたらぬるい(ぐずぐずしている)。買い取り価格も決まらず、業者が利益を上げられるか分からないのに、銀行は融資なんかしないでしょ」。参入する事業者は、発電所を建設する巨額の資金をどう調達するかも迫られるという。

 「脱原発」の取り組みを進めるソフトバンクの孫正義社長は、全国の休耕田などに太陽光発電施設を設置し「(全電力の3割程度に当たる)原発50基分の電力をつくれる」と主張する。太陽光は原発に代わって電源の「主役」になりうるのか。

 「今のままでは主役にはなりえません。適地も限られる。夜は発電できない。電力はためるのが難しいですが、自然エネルギー発電は出力が不安定です。太陽光は良くて全体の20%でしょう」

 決して楽観しているわけでもない。

 「でもね。福島であんなことがあって、原発に戻れますか。今まで原発に使っていたお金をすべて自然エネルギーに投下すれば一気に状況は変わると思います」

 -なぜ変わるのですか。

 「電気をためる画期的な蓄電池の開発が期待できるからです。日本、韓国の企業が膨大な研究費をさいて研究しています。10年かからずできるかもしれませんよ」

=2012/03/03付 西日本新聞朝刊=