【九電 九州考】(3)の2 独占体制に一刺し

 開設者不明の派手な黄色いホームページ(HP)=写真=が呼び掛ける。

 「九州電力にNOを! やってみませんか? 電気料金の不払い」

 補修作業の手順書不備によるトラブルで自動停止していた玄海原発(佐賀県玄海町)4号機の再稼働を九電が強行した11月上旬ごろ、このページは立ち上げられた。

 -電気が独占である限り、消費者はどうすることもできず、泣き寝入りするしかない。何をやってもいいと思っていたら大間違いということを突きつける時…。

 こう、賛同者を募る。

 方法は電気代の口座引き落としを解約するだけ。電気料金は3カ月間滞納しない限り、電気を止められない仕組みを逆手にとり、支払いをその間保留して九電にダメージを与えようというのだ。

 ネット上では賛否がある。こんな書き込みもあった。「電気を使ったら料金を払わないと違法だし、結局は3カ月後に払わざるを得ず、ある意味、頭の悪い方法。だが、こうしたくなる気持ちを伝えたい…」

 九電は「担当部署もHPの存在は知っているが、それによる解約数は把握していない」(報道グループ)と平静を装う。ただ、ある社員は「広がり次第で現金収入が落ち込み資金繰りが悪化する恐れもある。それより、そこまでして九電の電気を拒否する人がいる方がショック」と明かす。

 電力大手は、一般家庭など小口分野(販売電力量の4割)の自由化に猛反対してきた。その理由の一つが、政府が行った東京電力の財務調査で透けて見えてきた。東電は営業利益の9割を、独占して電気を売る小口の利用者から得ていた。九電の収益構造は公開されていないが、「小口から薄く広く利益を吸い上げる構図は、電力各社とも似たり寄ったり」と、業界関係者は指摘する。

 経済産業省は、安定的な収益構造にもかかわらず、電力大手が東日本大震災後に計画停電を行い、混乱を招いたことを問題視。新規の電力事業者の市場参入を促して、一層の電力の安定供給を確保する制度改革に着手した。小口分野の自由化も検討していく構えだ。

 全面自由化すれば、各社の競争が加速。電力会社が必要経費に利益を上乗せする「総括原価方式」で決められる電気料金を下げる圧力にもなる。

 枝野幸男・経済産業相は12月末の記者会見で「電力システムの再構築は、国民の理解が得られる」と強調した。

 1920年代。電力会社の環境はまるで違った。九州には大小80近くの事業者が群雄割拠していた。「門司小倉方面は近頃、競争の結果大分料金が下がった」。当時の福岡日日新聞(西日本新聞の前身)は、こんな役人の談話を紹介している。

 特に福岡県北九州・筑豊地域では激戦を極め、事業者は製鉄関連や炭鉱への供給権を奪い合った。水力、火力発電所を建設し、他社と並行するように送電線を張った。だが、送電網への投資や値下げ合戦で収益が悪化。安定供給を確保する状況からは程遠かった。

 戦後間もない51年、過当競争を避ける狙いもあり、全国民営9社体制に再編された。戦前の教訓を生かしながら、この9社(沖縄電力を含めると10社)体制の弊害をどう見直すか-。政府内で本格化し始めた議論の行方は、九電の組織改革を左右する。

=2012/01/03付 西日本新聞朝刊=

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