【問う語る】(1)の2 原発依存「残っちゃう」 岸本・玄海町長

岸本町長が「脱原発依存」を託す次世代エネルギーパークの建設予定地佐賀県玄海町 拡大

岸本町長が「脱原発依存」を託す次世代エネルギーパークの建設予定地佐賀県玄海町

 佐賀県玄海町の岸本英雄町長は、玄海原発1号機の廃炉と引き換えに、原発を新設し、今と同じように原発関連交付金などを受け取り、地域づくりを進めることがあきらめられない。しかし、政府は原発の寿命を原則40年とする原子炉等規制法改正案を国会に提出した。各種世論調査をみても、日本のエネルギー政策で将来、原発に頼る比率を減らすべきだとの声が圧倒的に多い。

 「脱原発依存。私もそういう気持ちです」

 -新設を口にしながら…。

 「ただ、太陽光や風力では原子力の容量は賄えない。私は原発は50年で廃炉と思う。物理学者じゃないから、正確なもんじゃないですが」

 新設に、根拠の薄い原発50年説。そこには原発に依存する町のありようをもう少し維持したいという意識が浮かび上がる。原発関連で生活の糧を得ている町民は5割超、町の歳入の6割は原発関連という。1998年度以降、岸本氏の実弟の建設会社が、原発関連交付金を財源とする工事総額の約4割を占めたことも明らかになっている。

 「入札は指名競争入札と一般競争入札の両建て。結果として弟の会社に(発注が)重なっている。玄海町域で特Aクラスの業者は弟の建設会社しかないんです。おかしなことはやっていない。弟は元警察官。私が町長選に出るときも『町から工事がもらえないじゃないか』と反対されたぐらい」

 岸本氏は、確実に近づく「廃炉の時代」を恐れている。「原発がある町から原発“も”ある町へ」。岸本氏が再選を果たした2010年の町長選で訴えたキャッチフレーズだ。

 「5年くらい先は不安です。1号機から4号機まで全部回らなかったら、(財政的に)非常に厳しい。だが町内に甘えの構造がある。農業漁業商工業だけで町を切り盛りするのは厳しい」

 原発に依存する町から転換を図るため、核燃料サイクル交付金を原資に建設中なのが「次世代エネルギーパーク」(総事業費14億6千万円)。太陽光や地熱について学ぶ施設だ。

 「エネルギー研究のブランド地域にこの町がなってくれればいいなあと。ただ、エネルギーパークは維持管理費もかかるし、当分の間は採算が合わないだろうという計算です。交付金には6年の間に使わないといけないとか制約があるんです。私の頭では他に知恵が出てこなかった」

 敷地の一部は九州電力から無償で借りた。工事は岸本氏の弟の建設会社が落札。今の町の構造では、エネルギーパークの赤字の穴埋めは原発から得るしか手だてがない。

 -原発に依存する体質を将来まで…。

 「うん。…残っちゃいますよね」

=2012/02/29付 西日本新聞朝刊=

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