【問う語る】(5)の2 コスト意識徹底を 北九州商工会議所・利島康司会頭

▼としま・こうじ1964年慶応大学法学部卒、同年安川電機製作所(現安川電機)入社。取締役ロボット事業部長などを経て、2004年社長。10年3月に会長に就き、同年11月から北九州商工会議所会頭。北九州市出身。70歳。 拡大

▼としま・こうじ1964年慶応大学法学部卒、同年安川電機製作所(現安川電機)入社。取締役ロボット事業部長などを経て、2004年社長。10年3月に会長に就き、同年11月から北九州商工会議所会頭。北九州市出身。70歳。

 東日本大震災直後の混乱から立ち直り、昨年から輸出企業を苦しめてきた歴史的円高も和らぎつつある。景気回復への期待も膨らむ今、産業活動の基盤となる電力供給に不安があることに不満を隠さない。

 「正直、電力のことを心配するなんて考えたこともなかった。震災でサプライチェーン(部品供給網)が乱れたが、日本人の強さで予想より早く乗り越えた。これで安心だと思った時にエネルギー問題が起きた。メーカーはとんでもなく大きな荷物を背負うことになり、大変困ったことやと思っている」

 この冬、九州は原子力発電所がすべて止まり、産業界や市民に昨年比5%以上の節電を求めた。会長を務める安川電機(北九州市)も全社で節電に取り組んでいる。

 「生産現場に支障があったという話はほかでも聞かない。(産業界から)電力会社を批判する声もなく、むしろ5%の節電と言われれば、生産時間を分散させたり、自家発電設備を動かしたりして6%とか7%やる。だけど、それは残念ながら今は(円高などで)仕事が少ないからできた」

 「だが、これで満足してはいけない。電力は絶対に不足する。製鉄やアルミとか、日本は電力を多く使う企業が多い。電気代が高い安いという問題でなく、あるかないかということだったら、海外に出て行く。それでなくても円高なのに」

 現時点で原発を再稼働させることに慎重な首長や市民が多いが、経済界の立場は異なる。製造業が海外に出て行き、国内の空洞化が進めば雇用や税収が減る。福祉をはじめ、暮らしへの影響は大きい。

 「とにかく景気が良くなる前に電力問題を解決してほしい。過酷なテストを重ね、全部でなくても原発を、何が何でも動かしてほしい」

 ただ、今までのように原発立地自治体へ寄付金などをばらまき、原発を動かすため、お金で解決するようなことは駄目だという。佐賀県玄海町では、九電が原発増設時、1世帯100万円を配ろうとしたことが明らかになっている。

 「例えば住民の理解を得るという理由で、どのくらいのコストを掛けているのか。そういうところから、『やらせ』みたいな問題も出てくるのではないか」

 国際競争にさらされているロボットメーカーのトップとしては、そうした地域独占に守られたコストへの考え方が九電は「緩い」と感じる。

 「われわれはコストを半分、時にはゼロにすることから考えろ、と言われる。30%カットなんて普通。電力会社もコスト意識を変えることが必要だろう。コスト意識を徹底すれば、電力料金だって下がる」

 「地域のまとめ役を担う電力会社が自信を失うのは困る。原発問題をもう一度謙虚に、重複してもいいから住民にこれまでの状況と安全対策を説明してほしい。新しい役員体制になる春、経営トップが総出演して説明してはどうか。決して代理では駄目だ。6月の株主総会では遅い」

=2012/03/04付 西日本新聞朝刊=

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