【コーヒー日和 福岡の街角で】(11)カップの上に新たな夢

自慢のクマと雪だるまのラテアートを施したカフェラテを出す山田大五朗さん 拡大

自慢のクマと雪だるまのラテアートを施したカフェラテを出す山田大五朗さん

マウンテンバイクを運転する山田大五朗さん=2011年3月、福岡市東区で行われたFUKUSAYACUP

 コーヒーは絵を描く「キャンバス」にもなる-。そう思わせてくれたのが、福岡市中央区大名の「カフェ パンデロー」でコーヒーを入れる山田大五朗さん(34)だ。

 店を訪ね、さっそくカフェラテを注文した。専用のマシンを使って入れたエスプレッソに泡立てたミルクを注ぐと、先がとがった細い棒を動かしていく。コーヒーの黒とミルクの白を生かしながら、30秒ほどでコーヒーの表面にかわいい「雪だるま」や「くま」を描いてくれた。

 レパートリーはウサギ、トトロなども加え9種類。今年のえとのヘビもマスターした。

 少しでも客を楽しませたいとの思いから、閉店後に残って、コーヒーに注いだミルクを利用してイラストを描く「ラテアート」を特訓してきた。参考にするのは、インターネットの投稿サイトでラテアートのつくり方を紹介する動画。基本のハートが描けるようになるまで1カ月、葉っぱやチューリップといった絵柄は半年かかった。

 「もともと一つのことを極めるのが好きな性格。一晩で20杯以上つくったこともあります。こんなに打ち込むのは、自転車以来です」

 自転車との出合いは、福岡農高2年のとき。自宅近くの自転車店でマウンテンバイクを勧められたのが、きっかけだった。「風を切って走る感覚が最高に気持ち良く、それまでの何げなく生きてきた人生が激変するほどのめり込みました」。所属していた野球部を退部し、国内の大会に挑戦した。

 高校卒業後は、カフェやピザ店などでアルバイト。2005年にカステラ製造販売大手の福砂屋(長崎市)とスポンサー契約を結び、プロ選手として「クロスカントリーマラソン」を中心に活躍した。

 07年から3年連続で、日本代表に選ばれ、ワールドカップや世界選手権にも出場。ロンドン五輪を目指してトレーニングを積んできたが、10年秋に国内最高峰レースの一つ「白馬24時間耐久レース」で優勝。完全燃焼したという思いから五輪の夢を捨て、第一線から退いた。

 引退後は、昨年4月からスポンサー契約を結んでくれた福砂屋の社員となり、同社が経営するカフェのマネジャーに就任した。本格的にコーヒーを学び始めると、自ら経験したスポーツとコーヒーに深いつながりがあることを知った。

 「コーヒーに含まれているカフェインが脂肪の燃焼に効果的で、運動の前に飲むといいとされているんです。ただ、糖分と一緒に取ると効果が薄れるため、ブラックで運動の20~30分前に飲むのが、ベストだと言われています」

 選手時代はコーヒーを試合前にも飲んでいた。ブラックが好きだったので偶然にも、スポーツに適した飲み方をしていたという。

 「利尿作用も摂取量が多くなかったため、2時間ちょっとのレース中にトイレに行きたくなることもなく、リラックスして試合に臨めました」

 今後もスポーツ選手で経験したことを基に、コーヒーの隠れた効能を広めていきたいという。

 話を聞いているうちに、コーヒーを飲むと体にどのようにいいのだろうかを知りたくなり、ある大学の研究者を訪ねることにした。

=2013/03/15付 西日本新聞朝刊=

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