【コーヒー日和 福岡の街角で】(12)「体にいい」を追究20年

コーヒーの研究について学生に指導する古野教授(右) 拡大

コーヒーの研究について学生に指導する古野教授(右)

 眠気覚ましやリラックス効果を期待して飲むことが多いコーヒー。気軽に楽しむ一杯にどんな効能があるのか、真剣に研究している人がいる。

 福岡市東区の九州大学大学院医学研究院の古野純典教授(63)だ。健康増進を図る方法を研究する「予防医学」が専門で、「コーヒーは生活習慣病の予防にいいんです」と笑みを浮かべた。

 退職前の男性の自衛官約2500人の肝機能の数値を調査したことがある。ビール2本分程度のアルコールを摂取した人について、コーヒーを毎日飲む人と、ほとんど飲まない人を比較。コーヒーを飲む人の方が、肝臓の状態を判断する指標「γ-GTP」が、平均で10以上も低いことが分かった。1994年にコーヒーの肝臓保護効果についての論文をまとめ、米国の医学専門誌で発表した。

 「手軽に飲める物が体にいいなら、こんなにいいことはない。もっと突き詰めたい」

 コーヒーを飲めば糖尿病が予防できる-。この仮説を実証するため、2008年には軽度のメタボリック症候群(内臓脂肪型肥満)の男性計17人を検査した。約4カ月、コーヒーを毎日5杯飲んでもらい、定期的に採血などをして血糖値や血糖値を調整するインスリン量の変化を調べた。

 カフェインの入っていないコーヒーや、水だけを飲む人も各16人集めてデータを比べた。

 結果はコーヒーを飲んだグループは血糖値が平均で13%下がったが、水を飲んだグループは改善が見られなかった。

 「コーヒーを飲む習慣が血糖値を下げ、糖尿病を予防する効果を明らかにできたんですよ」

 研究の合間にコーヒーを1日に3~5杯は飲むが、豆の種類や入れ方にこだわりはない。インスタント派という。「高い豆も安い豆も成分はあまり変わらない。インスタントは濃さの調整が簡単だから」と笑う。

 米国などでも近年、「コーヒーを習慣的に飲む人は、飲まない人に比べて糖尿病になる危険度が低い」という研究成果が相次いで発表され、コーヒーの効能が注目されているが、くぎを刺すことも忘れない。

 「糖尿病を予防するのに重要なのは食事と運動。その合間にコーヒーを楽しむのが健康の秘訣(ひけつ)です」

 今春で九州大を退官するが、今後もコーヒーの研究は続けていくつもりだ。糖尿病に効果的なことは分かったが、「なぜ効くのか、そのメカニズムを解明したい。福岡の人に健康で元気に過ごせる方法を教えたい」。これからの研究に胸を弾ませる姿は、まだまだ「現役」だ。

 大学からの帰り道、近くで、コーヒーを飲もうとパソコンを開き、インターネットでカフェ情報サイトを見た。膨大な件数がヒットした。サイトを運営しているのはどんな人なんだろう-。気になって仕方なかった。


=2013/03/16付 西日本新聞=

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