【再起を支える】(1)社会復帰へ苦悩と希望 仮釈放

 九州のある刑務所の面接室。身長180センチを超す丸刈りの男がパイプ椅子に腰掛けた。裁判で確定した刑期を残して仮釈放される候補者として、九州地方更生保護委員会の委員に可否を判断してもらうためだ。

 机を挟んで1メートルほどの距離で向き合うのは委員の竹中力(62)。男とは初対面だが、その名前は記憶に生々しかった。

 男は数年前、同居する女性の連れ子をおもちゃで虐待して死なせた。竹中は当時、虐待から子どもを守る児童相談所の職員だった。

 「あの幼子の命を奪ったのは、この男だったのか」。込み上げる気持ちを悟られてはならない。竹中は事件を振り返ってもらうことから始めた。

 「凶器にしたおもちゃは、誰んとやったとか」

 「自分のものです」と答える男に、竹中は畳み掛けた。「そんな、子どもみたいなもん持っとったんか」

 その瞬間、男は竹中をにらみ付けた。怒りに震えているのが分かった。

 塀の外に出られるかが懸かった面接である。多くの受刑者は自分を良く見せようと繕うのに、この抑えきれない感情はどこからくるのだろう。竹中は質問を続けた。

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