【累犯障害者支援基金シンポ】(2)刑務所「障害者のついのすみか」 元衆院議員・山本譲司さん講演

自らの受刑生活について語る山本譲司氏 拡大

自らの受刑生活について語る山本譲司氏

 獄中体験に基づく著書「獄窓記」「累犯障害者」で刑務所の実態を世に問うた元衆院議員の山本譲司さんが講演した。障害者や高齢者であふれる塀の中は「福祉の代替施設」になっている。「累犯障害者は社会で最も排除されやすい。刑務所の高い塀は、弱者の受刑者を冷たく厳しい社会から保護する存在に思えた」と振り返り、問題解決を訴えた。

 2000年に秘書給与事件で逮捕され翌年に実刑判決を受けた。刑務所で受刑者50人ほどと受けた適性検査でのこと。「読み書きできません」という人や徘徊(はいかい)する人…。「大いにショックを受けました。議員時代に障害者問題をライフワークと言っていたけど、刑務所に入って日本の福祉が分かっていなかったと思い知らされました」

 障害のために刑務作業ができない人も多かった。障害者は特別な工場に集められた。独房で泣く人に刑務官が優しく子守歌を歌う姿も見た。

 「自分がどこで何をやっているかも分かっていない。刑務官も、罰を与えるというより居場所や寝床を与えているという感じでした」

 刑の満期が近づき、娑婆に出るのが怖いと漏らす人も少なくなかった。ある人は「ここ(刑務所)は自由もないけど不自由もない」と言った。「彼らは罪を犯す前、虐待、貧困、排除と99%被害者として生きてきた。社会に居場所がなく、寄る辺もない。刑務所は、ついのすみかだった」

 山本さんの最初の著書が出て10年近くたつ。累犯障害者への手当ては、受刑中から社会復帰を支援する地域生活定着支援センターが整備されるなど前進した。ただ「刑務所問題は票にならない」と山本さんに言い放つ与党議員もいる。罪を犯した人との関わりを避ける社会の空気も根強い。

 「刑務所に入れて排除すればいいのか。社会で迎えるのか。まさに日本の在り方が問われています」と締めくくった。

=2012/07/20付 西日本新聞朝刊=

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