【刑のかたち】(2) あふれる「犯罪学校」 女子刑務所

 ミッキーマウス、くまのプーさん…。鉄格子の窓から入る秋風にキャラクタータオルが揺れる。ここは佐賀県鳥栖市の麓刑務所。九州唯一の女子刑務所だ。クリスマスには体育館にツリーが飾られ、受刑者の居室には料理のレシピ本が並ぶ。

 処遇部長の辻本薫(50)は毎朝手を合わせて出勤する。「今日一日、職員が無事に過ごせますように」。そう、ここは“戦場”なのだ。

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 テレビと机、荷物入れのケースが置かれた3畳間。1人用の居室だが2人が寝起きする。布団を敷けば足の踏み場はない。「朝起きたら他人の顔がすぐそば。でも居室に空きがないんです」と辻本は説明する。6人部屋は8人で利用している。

 全国の女子刑務所は定員超過が続く。近年の収容率は120%。受刑者は「いろんな人がいて口げんかにもなる」と明かす。刑務作業のない土日祝日は一日の大半を居室で過ごす。「長い連休はきつい」(辻本)。居室の変更を願い出られても回答は「我慢」だ。

 過剰収容の一因は覚せい剤取締法違反と窃盗での服役の多さ。全国統計では両罪名で全体の76%を占め、累犯も多い。

 「犯罪学校」。女子刑務所をそう例える刑務官もいる。男子の受刑者は犯罪傾向の進度ごとに刑務所が分かれるが、女子は初犯から累犯までを一つの施設に収容する。覚せい剤の仕入れ先などの「裏街道」情報が“先輩”から伝えられる。

 辻本が前にいた施設では受刑者が無言のままパイプいすで刑務官に殴り掛かった。「職員の戦闘態勢をどう維持するか、知恵とエネルギーを注ぎ込んできた」

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