抗がん剤効果 予測に道 九州がんセンター 細胞内酵素と相関性証明

「今回の研究は2008年ごろから本格的に取り組んだ」と話す織田室長 拡大

「今回の研究は2008年ごろから本格的に取り組んだ」と話す織田室長

 抗がん剤の中では量的に世界で最も使われているとみられる「5-フルオロウラシル(5-FU)」の効果を事前判定できる方法の確立につながるかもしれない-。そんな研究結果を、九州がんセンター・臨床研究センター腫瘍遺伝学研究室の織田信弥室長(50)らのグループが、4月16日付の米オンライン科学誌プロスワンで発表した。

 織田室長によると、5-FUは、1957年に米国で創出が報告された。注射薬や経口薬として出回っており、多くのがんの治療薬として、日本を含め世界中で使われている。

 5-FUは、がん細胞内のチミジル酸合成酵素(TS)に働きかけることが分かっており、このTSの量が少ないと、5-FUによる治療効果が高くなり、多いと効果が乏しくなることが、かつてから予想されていた。しかし、5-FUによる治療を受けて、がんの状態が改善した患者の中には、TS量が多い人もいるなど、矛盾する研究結果が出ており、TS量と5-FU効果の相関性が明確に証明されているわけではなかったという。

 今回、織田室長らは、ヒトの大腸がん細胞内でTS量を自由に増減させるシステムを、試験管内と研究用ネズミに構築。それらに5-FUを投与してみると、やはりTS量が少ないほど、5-FUの治療効果が高まることがうかがえる結果が得られたという。

 5-FUは多くの抗がん剤と同様、投与してみないと効くかどうか分からない面がある。効かないのに投与してしまう「医療の無駄」を避けるためにも、効果を予測できる「バイオマーカー」を見つけ出すのは重要課題だ。織田室長は「TS量の多寡がバイオマーカーになることが今回の研究でかなり裏付けられた。実用化に向けた研究がさかんになることを期待したい」と話している。


=2015/05/01付 西日本新聞朝刊=

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