【そもそも講座】空き家対策特措法とは 市町村判断で解体可能 所有者特定に税情報活用

 ●空き家対策特措法とは 
 倒壊の恐れ、犯罪の温床、景観の荒廃…。管理が不十分な「空き家」が増え続け、社会問題化しています。空き家に対する施策を総合的に推進する「空き家対策特別措置法」が26日に全面施行されますが、十分な効果が上がるでしょうか。

 ●市町村判断で解体可能 所有者特定に税情報活用

 -新法ができた理由は。

 高齢化や核家族化に伴い、居住世帯が長期にわたり不在で適切に管理されていない空き家が増加。中でも、家屋が倒壊しそうだったり雑草が生い茂ったり、周辺の環境に悪影響を及ぼす空き家の解消を進めるのが狙いです。

 -これまでも空き家対策はあったけど、新法の特徴は。

 空き家の情報を市町村に登録して移住希望者に紹介する「空き家バンク」など、これまでは主に利用、活用するのが中心でした。新法では、対策の実施主体を市町村と明記。近隣に危険や迷惑を及ぼしている空き家を市町村が「特定空き家」と判断すれば、所有者や管理者に解体を勧告したり、従わなかった場合に行政が代わって解体したりすることができるようになります。

 -特定空き家はどうやって判断するの。

 法律では「倒壊など保安上危険となる恐れ」「景観を損なっている」「周辺の生活環境に悪影響を与えている」などとされていて、市町村職員らが敷地、建物内に立ち入って現況を詳しく調べることができるようになります。ただ、建物の傾き角度や、屋根や外壁の劣化程度など具体的な判断指針は、国土交通省が策定中です。

 -そもそも、所有者や管理者が分からない空き家が多いと聞いたけど。

 世帯主が高齢になり介護施設に入所したり、子どもたちが遠隔地に住んでいたり、相続したことを知らずに空き家の所有者という認識がなかったり…。周囲の生活環境に悪影響を及ぼしている危険な空き家には所有者や管理者が分からないというケースが少なくありません。所有者や管理者が不明だと市町村が適正管理を指導、勧告したりする相手がおらず、放置されかねません。新法では、所有者を特定しやすくなります。

 -どういうこと?

 空き家の所有者を特定するには、これまでも近隣住民の聞き取りや不動産登記簿、住民票などで確認していましたが、これに加えて、リアルタイムな情報が分かる固定資産税の課税台帳から所有者を割り出すことができるようになります。これまでは地方税法の守秘義務があり、たとえ同じ市町村の他部局でも税務部局が情報を提供することはできませんでしたが、それが利用できるようになります。

 -所有者や管理者が特定された後はどうするの。

 市町村が、所有者や管理者に売却や修繕、解体などを指導・助言し、解決しない場合は勧告、命令と進みます。それでも解決する見込みがないと判断すれば、解体などの措置を行政代執行法に基づき市町村が代わりに行います。所有者が特定できない場合でも、解体などの措置を代執行できます。ただ、こうした公権力の行使は個人の財産権を侵害する恐れもあるので、手続きの透明性や慎重な対応が求められます。

 【メモ】「空き家率」最高13・5%

 総務省の住宅・土地統計調査によると、2013年10月時点の全国の総住宅数は約6063万戸で、そのうち空き家は約820万戸。総住宅数に占める「空き家率」は13・5%で、調査を始めた1948年以来、過去最高となった。土地の固定資産税は、住宅が建っている場合、200平方メートル以下の部分で本来額の6分の1、200平方メートルを超える部分は3分の1に軽減される特例措置がある。更地にするとこの特例措置が適用されないため、危険な空き家が放置される一因になっている。新法では、市町村から「特定空き家」と判断されると、こうした特例措置から外されることから、危険な空き家の売却や解体が進むとみられている。


=2015/05/02付 西日本新聞朝刊=

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