小倉医師会 石田さんに聞く 外国人看護師候補 再受験支援は 集中講義に受講生喜び 講師は1人 増員が課題

 経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補者として来日したものの、国家試験に合格できずに帰国したインドネシア人について、北九州市小倉医師会と一般社団法人メディカル・プラットフォーム・エイシア(東京)が連携し、再挑戦を支援する事業に2013年度から取り組んでいる。現地で集中講義を開き受験準備を手助けするのが柱の一つ。その講師を務めてきたのが同医師会立北九州小倉看護専門学校教員の石田佳奈子さん(34)だ。これまでの取り組みなどを聞いた。

 -現地での集中講義の概要を教えてください。

 石田 13年度は受講生6人に対しジャカルタで約10日間、14年度は11人に対しジャカルタ近郊で約4カ月間、実施しました。受講生は20~40代の男女。講義は午前9時からから午後5時まで。日本語と英語で講義を進めました。

 受講生たちは国家試験に合格して日本でずっと働くことを夢みていたのに、果たせず落胆していました。家族の期待に応えられなかった申し訳なさもあるようでした。

 国家試験に再挑戦したくても現地で勉強するのは困難。分からない点を質問する相手さえいないからです。だから集中講義という勉強する環境が用意され
たことを喜んでいました。

 初日、実力試験をして、受講生各人の苦手な分野を把握し、その後、苦手が得意になるようにアプローチしていきました。

 受講生たちは母国の看護師資格を持ち、働いた経験もあります。互いの仕事の経験を踏まえて議論することもたびたびありました。

 私が何よりも伝えたかったのは「患者さんの身体面だけでなく、精神的、社会的側面にも理解を深め、その人らしさを尊重して看護してほしい」ということでした。

 -大変だったことは。

 石田 1人で講義を受け持ったので倒れてはならないというプレッシャーがあったことです。食事、交通渋滞、洪水、治安の悪さなど慣れないことばかりで生活面も苦労しました。

 -この事業に参加するきっかけは。

 石田 EPAに基づく看護師候補者たちは来日して、受け入れ先の病院で看護助手などとして働きながら、毎年1回の国家試験に挑戦しています。ところが、友人から「試験に向けて看護の勉強が十分にできずに大変な思いをしている候補者や、無念の思いで帰国した人がいる」と聞かされました。それで私に何か力になれることはないかと考えていたら、この問題に関心があった小倉医師会の原田嘉和理事らと知り合い、事業に加わることになったのです。今、現地での集中講義で講師として活動するのは私一人。仲間が増えることを願っています。

 ▼いしだ・かなこ 看護師、保健師の資格を持つ。九州大学病院(看護師)、福岡県宇美町役場(嘱託保健師)勤務を経て2008年度から西南女学院大保健福祉学部看護学科助手。09~12年度同学科助教

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【ワードBOX】EPAに基づく看護師候補者

 2008~14年度にインドネシア、フィリピン、ベトナムから計839人が来日。毎年1回の国家試験に挑み、合格を目指すが、滞在期間3年(特例で1年延長可)のうちに合格できなければ帰国となる。合格者は計154人にとどまり、来日した約半分は不合格で帰国したとみられる。


=2015/05/15付 西日本新聞朝刊=

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