マージャン 仲間の輪 不登校、認知症 老若男女つなぐ 福岡県内で教室

「元気が出る麻雀教室」で白野孝一さん(左上)にルールを聞く参加者たち 拡大

「元気が出る麻雀教室」で白野孝一さん(左上)にルールを聞く参加者たち

 コミュニケーションしながら楽しめる頭脳ゲームとして、高齢者に人気のマージャン教室。福岡県内8カ所で開かれている「元気が出る麻雀教室」には、引きこもりや不登校を経験した若者も訪れる。老若男女が「つながる場」となっている同教室を訪ねた。

 ジャラジャラとパイを交ぜながら、おばあちゃんが世間話を始めた。「子ザルの名前が(英国王女と同じ)シャーロットになったねぇ。私は失礼だと思うけどねぇ」。由加さん(27)は「そうですねぇ」とほほ笑んでパイを並べた。

 由加さんは2月から、福岡市南区の教室で初心者にルールを教えたり、高齢者たちとプレーしたりしている。相手の目を見て話す姿からは想像できないが、大学卒業以来、ずっと家に引きこもっていたという。家族の食事作りや祖母の介護をする一方で「他人と接することがつらく、宅配を受け取るのも嫌だった」。自分でも原因が分からず病院を転々とした。昨年末に祖母が亡くなると、気分はさらに落ち込んだ。

 外へ出るきっかけは、父親にもらった同教室のチラシだった。マージャンなら家族で楽しむこともある。それに根っからのおばあちゃん子。勇気を出して教室を訪ねた。事情を知った代表の白野孝一さん(41)は由加さんをスタッフに誘った。

 白野さんも、引きこもり状態だった時期がある。「家族」を描く小津安二郎監督に憧れてテレビ番組制作会社に入ったが、「仕事に追われ、身近な人さえも大切にできなかった」。27歳で退社。何をすべきか分からず閉じこもった。ある日、施設で暮らす祖母を見舞うと、人付き合いが苦手で1人でいることの多かった祖母が、心から笑ってくれた。「こんな人たちが仲間や生きがいをつくれるような、居場所をつくりたい」。それが教室を開く原点となった。

 開設から10年たち、利用者は延べ7万人を超える。妻や夫を亡くした人、認知症の人、不登校の子も。「昔は大家族や近所の中に多様な人がいて、互いに必要とされ見守り合っていた。ここはそんな場です」

 由加さんは今、駅前でチラシを配ることもある。「何一つできないと思っていたけど『若い子に会うと元気が出る』と言われて笑えるようになった」。もう病院には行っていない。「これからは不登校の子たちの悩みを聞いてあげたい」


=2015/05/19付 西日本新聞朝刊=

PR

PR

注目のテーマ