【生きる 働く 第5部】LGBT 自分らしく<3>就活の悩みサポート

就職活動中のLGBT学生を対象に開かれたイベントでは、就活体験談などが語られた=3月、東京 拡大

就職活動中のLGBT学生を対象に開かれたイベントでは、就活体験談などが語られた=3月、東京

 就職活動には悩みや不安がつきものだ。LGBT(性的少数者)の学生となると、それは一層大きくなる。

 「周りに同じような人がいなかったから、自分がどうなりたいのか、将来像がうまく描けなくて」。埼玉県の大学4年生ルイさん(22)は、トランスジェンダー(心と体の性が異なる人)。就活のまっただ中だ。

 女性として生まれたが、心の性は男性寄り。髪は短く、化粧やスカートは苦痛で、服も男性用がしっくりくる。今のところ、手術して戸籍上の性を変えたいとは思っていない。職種や勤務条件よりも、そんな自分を理解してくれる会社で働きたい。

 「カミングアウトが面接で不利に働くのではないか。受け入れてくれる会社が見つかるのか」。悩み、迷いながら、説明会やセミナーに参加している。

           

 3月中旬、東京都内で開かれた「LGBT就活トークライブ」は、ルイさんのような学生たちの支援が目的だ。

 「門前払いの企業もあったが、前例はなくても受け入れたいという企業もたくさんあった。LGBTフレンドリーな(LGBTに理解を示す)企業は外資系だけじゃない」。高齢者向けサービス会社で働く中島潤さん(25)=福岡県出身=は、トランスジェンダーと明かして就活した経験を語った。

 履歴書の性別欄や男女どちらのスーツを着るかで迷った。志望動機は、マイノリティーであることをカミングアウトしていたからこそ、きちんと説明できた。一方、自分がどう生きたいかよりも、セクシュアリティー(性のありよう)の壁をどう乗り越えるかが就活の命題になってしまった。「社会人になって3年たった今、ようやく自分らしく働くってどういうことか、考えられるようになった」

 イベントは、NPO法人ReBit(リビット、東京都武蔵野市)とNECが共同で開催。同法人は、2年前からLGBT学生を対象にしたセミナーを開くなど、就活支援に取り組む。今年4月にはLGBT就活のサイト(http://www.lgbtcareer.org/)を開設した。LGBT学生を対象にした採用説明会の情報や、企業の取り組み、当事者の就活体験談などを紹介している。薬師実芳代表(25)は、「当事者が見えにくく、問題が可視化されていないためにこれまで就労支援機関の手が届きにくかった」と指摘する。

    

 九州でも、状況は変わりつつある。福岡市で当事者の若者支援に取り組む「FRENS」(フレンズ)は、昨年9月にLGBTの就労、就活をテーマにしたセミナーを初めて開いた。メンバーの石崎杏理さん(30)は「東京の方が働きやすそうだからと、九州を離れてしまう若者は少なくない。いろんな働く姿のモデルを伝えたい」と話す。

 煌彪(おうが)さん(20)は今年4月から、熊本県内の工務店で大工修行を始めた。戸籍上の性別は女性だが、男性として働く。高校卒業後の2年間、就職先がなかなか決まらず、短期アルバイトを繰り返してきた。今回、就職を支援したのは熊本市の「ともに拓(ひら)くLGBTIQの会くまもと」だ。

 同会は県技能士会などに協力を求め、当事者が働ける会社を探して交渉を重ねた。面接のポイントなどを助言し、時には同行した。代表の今坂洋志さん(62)は元教員で、定年退職後、LGBTへの理解を広め、支援する活動に力を入れている。「いじめが原因で引きこもったり、学校を辞めてしまったりして、将来の夢が描けない子もいる。生活基盤を整え、誰もが夢を描ける環境をつくっていきたい」

 =フルネーム以外は通称


=2015/05/21付 西日本新聞朝刊=

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