亡き姉にささげるライブ 福岡市で12月26日 「歌いたい」遺志継ぎ 故広瀬了子さんの妹

姉の広瀬了子さんの写真と一緒に「生誕50周年記念ライブ」の来場を呼び掛ける理津子さん 拡大

姉の広瀬了子さんの写真と一緒に「生誕50周年記念ライブ」の来場を呼び掛ける理津子さん

ライブに向けて練習に励むグラッド・ゴスペルシンガーズ

 意識がなくなる直前、酸素マスクを外してまで口にした姉の言葉が忘れられない。「もう一回…。もう一回…」。乳がんと闘いながらゴスペルグループの一員として舞台に立ち続け、6月に49歳で亡くなった広瀬了子さん=福岡市中央区。妹の三苫理津子さん(46)は「きっとその言葉の後に『歌いたい』と言いたかったのだ」と思ったという。12月26日、姉のために「生誕50周年記念ライブ」を開く。「これからも一緒に」との思いを込めて。

 ゴスペルが題材の映画「天使にラブソングを」。その力強い歌声に魅了された了子さんは12年前、ゴスペルの世界に飛び込んだ。

 「内気だった姉が驚くほど明るくなった」と理津子さん。だが、グループに参加して5年目、胸のしこりに気づく。乳がんだった。昨年7月に再発し、抗がん剤の副作用に苦しんだ。

 それでも、同じ境遇の人たちに「音楽を通して元気や勇気を与えたい」と歌い続けた。そんな姿を、妹は「舞台で輝く姉がうらやましくて。もう体調は大丈夫」と思いながら見守った。

 しかし、今年1月のライブを最後に体調が優れない日が増え、6月4日に容体が急変。息を引き取った。逆縁に力を失う両親。理津子さんは「自分がしっかりしないと」と気持ちを奮い立たせ、葬儀を仕切った。

 それから1週間後のことだった。姉の音楽仲間から「了子さんのためにライブをやろう」と提案された。「すごくうれしかった」。同時に、温かかった姉の心に触れた気がした。

 姉は友人を大事にする人だった。メンバーの父親ががんで入院すると、病室で歌って力づけたこともあった。理津子さんが昨年夏に離婚したときも「私が幸せにしてあげるけん、これからも一緒よ」と励ましてくれた。

 ライブをしよう! お姉ちゃんと一緒に。姉の誕生日に決行すると決めた。

 「私も輝ける場所がほしい。その姿を姉に見てもらいたい」。姉が経営していた音楽奏者派遣会社「ミュージックフェローズ」も引き継ぐことにした。初めての経営に重圧もあるが、姉が大事にしてきた同僚たちが支えくれている。

 当日は、了子さんと縁のある音楽仲間がそれぞれの思いを胸に出演する。最後に所属した「グラッド・ゴスペルシンガーズ」のメンバーで、入院中の父親を励ましてもらった福山美和さん(38)は「私たちはこれからもずっと一緒。そう再認識する機会にしたいんです」と力を込める。

 本番まで1カ月。理津子さんは「姉の分まで、一人でも多くの人に元気で、健康で、楽しく生きてほしい。当日はそんな思いを伝えるステージにしたい」と誓っていた。

 ◇ライブは12月26日午後6時半から、福岡市中央区地行浜2丁目の「Zepp Fukuoka」。2千円プラス飲み物代。問い合わせはミュージックフェローズ=092(711)7503。

=2012/11/27付 西日本新聞朝刊=

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