【えほんの風景】女らしく 男らしく 刷り込んでませんか 絵本にみるジェンダー 福岡の市民グループが講座

「人権を認め合うことが本当のジェンダーフリー」と話す草谷桂子さん 拡大

「人権を認め合うことが本当のジェンダーフリー」と話す草谷桂子さん

「ぐりとぐら」(福音館書店)赤と青の帽子をかぶった2匹。色で性別を決めていませんか? 「ともだち」(玉川大学出版部)女の子がプラモデルを作り、男の子が編み物をする…。おかしいですか? 「ぼくはよわむし?」(大月書店)男の子は強くなくちゃいけない?

 絵本を通して「女は女らしく、男は男らしく」という意識が幼いころから刷り込まれていないか‐そんな視点で、福岡市の読書ボランティアでつくる市民グループ「草の実プロジェクト」(西平香織代表)が講座「絵本を通じて楽しむ男女共同参画」を企画した。11月に同市内で開かれ、市民55人が参加してジェンダー(社会的・文化的性差)と絵本の関係について学び合った。

 はじめに、児童文学者の草谷桂子さんが「絵本を通じて楽しむジェンダーフリー」と題して講演した。農家で3人の子を育てながら、自宅を開放する「家庭文庫」を32年間主宰してきた経験を踏まえて語った。

 その中で、体を壊しても家事をこなす母親を描いた日本の作品と、父親も家事をする海外の作品を紹介。「結婚して親になるってすてきだな‐そう思える内容であってほしい。母親が家事をする絵本があってもいいけれど、それがすべてでは子どもたちの選択肢が狭まります」と指摘した。

 ベストセラーの『ぐりとぐら』も取り上げた。赤と青の帽子をかぶる2匹のネズミが登場する。「赤いから女の子、青いから男の子だと思っていませんか」。実際は、性別が分かるようには描かれていない。「大人にもいつの間にかジェンダーが刷り込まれている。女だから、男だからではなく、他者の人権を認め合えるようになってほしい」

 続いてワークショップがあり、八つの班に分かれて絵本の感想を話し合った。参加した福岡県糸島市の農業、才津原哲弘さん(66)は「体に染み付いていた性別の役割分担に気付くことができて良かった」と話していた。

 草の実プロジェクトの力丸世一(せい)さん(65)は「ジェンダーフリーとは一人一人が自立すること。絵本を通して大人がそれに気付き、子どもたちに伝えてほしい」と呼びかけている。


=2012/12/04付 西日本新聞朝刊=

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