【信仰×新考 うるおいプラス・心】「クリスマス」を知る 西南学院大神学部教授・片山寛さんに聞く

 ●キリスト誕生日に諸説 生きる意味かみしめて

 イベント化が目立つ日本のクリスマスだが、キリスト教にとっては大切な日。「そもそも」をきちんと理解しておこうと思い、西南学院大学神学部教授の片山寛さん(61)に解説してもらった。

 ▼起源

 クリスマスは、この世界にイエス・キリストという神の子が誕生した記念すべき日。現在、多くの国で12月25日を誕生日として祝っている。ただし、古い時代には3月28日説や1月6日説があり、ロシア正教会は今も1月6日に祝う。聖書の降誕物語から推測し、誕生日は「冬ではない」とする説もある。

 12月25日が誕生日と位置付けられた背景には、二つの説がある。一つは、4世紀のローマで盛んだったミトラス教(太陽信仰)の主祭日(冬至祭)で、その信仰をキリスト教が取り入れ、宗教的な統合を目指したとされる説。もう一つは、ユダヤ教の祭りを起源とする説。いずれにしてもキリスト教は、各地の宗教と信者を取り込みながら世界に広まったといえる。

 ▼ツリー

 ドイツのゲルマン人やケルト人の樹木信仰が起源とされる。それがモミの木になったのは、16世紀初頭にアルザス地方(現在はフランス領)で家や集会所に立てるようになり、その習慣が定着したからのようだ。

 ドイツでは古くから、冬至の祭りに家を緑の木で飾る習慣もあった。冬に常緑樹を飾り、生命の復活を祈ったと考えられる。

 昔は、楽園で知恵を象徴するリンゴや、生命を象徴する聖餐(せいさん)式のパンをぶら下げていた。時代とともにリンゴがガラス玉に、パンがクッキーやキャンディーに変わっていった。てっぺんに星を飾るのは、東の国の博士たちが星を道しるべにキリストの元を訪れたという聖書のマタイ福音書に由来しているようだ。

 ▼サンタクロース

 本名は、聖ニコラウス。4世紀ころの司教らしい。今の陽気で優しい印象とは異なり、どちらかといえば厳格で怖いおじいさん。それが米国のデパート商戦と結び付き「キャラクター」に作り変えられていった。

 戦後の一時期、フランスを中心としたキリスト教会が、米国の描くサンタを批判したこともあった。米国文化の普及と大衆消費社会の到来とともに、欧州でも“米国製サンタ”のイメージが広がっていった。

 ちなみにサンタの故郷とされるフィンランドだが、トナカイは多くても、サンタの伝説とは直接関係がない。

 ▼ケーキ

 欧米のクリスマスは12月24日の夜に始まり、2週間ほど続く。そのため、日持ちのいいずっしりとした固いケーキやクッキー、ビスケットが好まれた。白いクリームの円形ケーキは日本のお菓子屋さんが仕掛けたと推測される。

 クリスマスは地方や国によって祝い方がさまざま。キリストの記念日であると同時に、この世界が私たちの目にどんなにみすぼらしく見えることがあっても、がっかりせず「生きることには意味がある」と確認するための日でもある。そんな気持ちで、今年のクリスマスを迎えてみては。


=2012/12/14付 西日本新聞朝刊=

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