「健康寿命」延ばすには 「たばこやめて」 「適度な運動を」 福岡市で公開講座

「健康寿命を延ばす」をテーマに意見交換したシンポジウム 拡大

「健康寿命を延ばす」をテーマに意見交換したシンポジウム

 福岡県医師会と西日本新聞社は1日、福岡市・天神のエルガーラホールで、県民のための公開講座「元気で長生きの秘訣(ひけつ)-健康寿命を延ばす」を開いた。参加者約400人を前に、三潴忠道・福島県立医科大学会津医療センター準備室教授が「冷えは万病のもと-漢方の視点から」と題して講演。続いて「健康寿命を延ばす」をテーマにシンポジウムがあった。その内容を報告する。

 シンポでは、三潴教授、山本英彦・福岡県医師会理事、小田辺修一・小田辺内科医院院長の医師3人と、福岡県医師会医療モニターの吉武あゆみさんと石田眞奈美さん、西山忠宏・西日本新聞編集委員の計6人が議論。はじめに、司会の上別府保慶・西日本新聞生活特報部長が「2010年の健康寿命と平均寿命の差は男性が約9年、女性は約13年。その差とは介護を受けたり、寝たきりになったりする期間で、大変つらい」と指摘。その上で医師3人に健康寿命を延ばす方策を聞いた。

 山本理事は「寝たきりになってしまう病気、つまりは脳梗塞、足腰が弱ることに伴う骨折、肺炎などを防ぐことだ。そのために足腰が衰えないよう運動をし、病気を引き起こす食べ物を避け、禁煙を心掛けるとよい」と提言。睡眠についても触れ「睡眠時間は短くても長くても駄目で、1日6~7時間の睡眠が一番長生きするとされている」と解説した。

 三潴教授は「食う・寝る・出す(排泄(はいせつ))」を毎日きちんとすることの大切さを強調。小田辺院長は日本が「がん大国」であることを踏まえ「がんの主原因はたばこ。脳梗塞の主原因もたばこ。日本はまだまだたばこの値段が安く、吸いやすい環境にある。たばこを吸う日本人が減ったら健康寿命も長くなる」と語った。

 これらの発言を受けて、石田さんが「運動をするにしても各人に合った運動があると思うが、それが分かりづらい」と疑問を投げかけると、山本理事が「確かに各人に適した運動をしないと続かない。買い物に行くときの歩く速度を少し速くするなど、各人が生活の中で工夫して運動を取り入れていくのも手だ」と答えた。

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 健康寿命を延ばすことを妨げる社会的課題についても話題が広がった。吉武さんは「大きな病気をした経験がない若い世代は、健康への関心が低い。もっと意識を持ってもらえれば」と問題提起。西山編集委員は「健康に関する記事を若者が読んでくれるよう、新聞社ももっと工夫しなければならない」と話した。

 「夢や生きがいがあれば、健康でいたいから節制もできる。だが、今は夢や生きがいが持ちにくい時代だ」と語ったのは三潴教授。小田辺院長は「特に心配なのは子どもたち。外に出ないで家でゲームばかりして、食事もハンバーガーやフライドチキンという子どもたちがいる。将来どうなるのか」と訴えた。

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 医師3人は健康寿命を延ばすための「とっておきの秘訣(ひけつ)」も披露。山本理事は「何事もほどほどに。食事も腹八分目で、お酒も飲まないよりも、ちょっと(日本酒で1合程度)飲む方がいい」と語り、さらに、いろいろなことに興味を持つことが認知症予防になると強調。三潴教授は「健康のための時間を一日のどこかに取り、習慣にしてしまうこと」。小田辺院長は「同窓会に行くこと。みんなから若く見られたいと思い、頑張ろうという気持ちになる」と話した。

 ●冷え症予防の4カ条 三潴忠道教授が紹介

 三潴忠道教授は、講演「冷えは万病のもと-漢方の視点から」の中で、体は冷えると機能が落ちてくることを踏まえ「健康のために冷えないようにして」と強調し「冷え症・予防と治療の4カ条」を次のように紹介した。

 (1)体を冷やす陰性食品を避ける
 (2)適度な運動をする
 (3)不自然に冷やさない
 (4)過剰に温めない

 適度な運動とは「15分ぐらい続けると少し息が弾む程度の運動」。陰性食品とは、冷たいもの、生もの、砂糖、酢、果物などのことで「酢を飲むのをやめたことで、体の節々の痛みが和らいだ患者もいた」という。
 漢方薬については、体を温めるタイプと冷やすタイプがあるとし、口から食事ができないほど弱っていた40代の患者を、おなかを温める漢方薬で治した経験などを語った。

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 ●ワードBOX=健康寿命

 一生のうち、介護が必要だったり、日常生活に支障が出るほどの病気にかかったりする期間を除き、健康に日常生活を送れる期間を示す。単に寿命を延ばすのではなく、生活の質を重視する考え方に基づいて、世界保健機関(WHO)が2000年に提唱した。厚生労働省は「国民生活基礎調査」を基に健康寿命を初めて算出。2010年は男性70・42歳(10年の平均寿命79・55歳)、女性73・62歳(同86・30歳)になったとする結果を6月に示した。

=2012/12/21付 西日本新聞朝刊=

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