【人の縁の物語】<1>“孤育て”つなぐ憩いの場 熊本県合志市 赤ちゃん図書館好評

 赤ちゃんに本を読んであげたいけれど、泣き声やおむつ替え、授乳などがあるから図書館は利用しづらい‐。そんな母親たちの要望に応えて、熊本県合志市に開設された赤ちゃんのための図書館「ベビーズ ライブラリ」が好評だ。本の貸し出しだけでなく、木製のおもちゃで自由に遊べて、スタッフが子育ての悩み相談にも乗ってくれる。「憩いと交流の場」を訪ねた。

 「子どもは遊びの中から学んでいきます。おもちゃはあれこれ買い与えるのではなく、発達段階によって遊び方を変えられるシンプルなものを選びましょう」

 この日は月に1回の「学びの会」。参加者は授乳したり、隣で赤ちゃんを遊ばせたりしながら、思い思いの格好で講師のおもちゃコンサルタント木原有紀さん(45)の話に耳を傾けた。

 図書館は昨年6月、NPO法人・子育て支援ワーカーズ「ぺぺぺぺらん」が開設した。約400冊の絵本と、ドールハウスやブロックなど木や布のおもちゃをそろえたスペースを、毎週火曜と水曜に無料で開放。「学びの会」はベビーマッサージやママビクスなど、テーマを毎回変えて開いている。

 1990年に発足した「ぺぺぺぺらん」は、絵本の読み聞かせや出前お話し会を県内各地で開いている。その中で最近、代表の高野和佳子さん(57)は「子どもたちの聞く力が衰えた」と感じるようになった。集中して話を聞けない子があまりに多い。「聞く力がないと、独りよがりになり、将来的にはいじめにもつながるのではないか」

 そこで開設したのがこの図書館だ。長く読み継がれている、日本語が美しい、絵が楽しい…。「幼いうちから出合わせたい」絵本を並べ、常駐スタッフが読み聞かせのこつも教えてくれる。おもちゃも、家庭でそろえるのは難しい海外ブランドや、品質の高いものをそろえた。

 2歳11カ月になる男児を育てる渡辺智都子さん(43)=熊本市=は毎週通う。たくさんの本に触れさせてあげたいけれど、子どもが騒いだらと思うと公立図書館には行きづらい。「周囲に気を使わずに済む分、子どものストレスも違うみたい。最近は覚える言葉がどんどん増えてきました」

 親にとっても「息抜きができる場」になっている。児玉直子さん(28)=熊本県菊陽町=は、1歳半になる女児の子育てを「行き場がなく、毎日子どもと2人で息が詰まりそうでした」と振り返る。図書館に常駐しているスタッフは子育て経験者。「思い切って悩みを打ち明けて楽になったし、悩んでいるのが自分だけじゃないと分かってほっとしました」と娘に笑顔を向ける。

 地縁が薄れ、少子化や核家族化もあって“孤育て”に悩む親は多い。スタッフの山城順子さん(49)は「子どもは人の中で育てていくもの。自分の子育てで感じてきたことを伝え、応援していきたい」と話していた。

 ライブラリは毎週火、水曜の午前10時から午後3時まで。絵本の貸し出しは、初回利用登録料として300円。ぺぺぺぺらん=096(337)0450。

    ×   ×

 無縁社会という言葉もある世の中で、細い糸をたぐり寄せ、絆を紡いでいる人たちがいる。「人の縁の物語」の始まりです。


=2013/01/08付 西日本新聞朝刊=

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