機能訓練 自宅で簡単 生活動作、歩行改善に効果

 要支援や要介護のお年寄りにとって、歩行機能や生活動作の維持には運動が欠かせないが、それを日々実践するのは大変だ。全国に200以上のリハビリ型デイサービス事業所を展開している「nagomi(ナゴミ)」の春日店(福岡県春日市)を訪ね、自宅で簡単にできる機能訓練「セルフケア」のやり方を、インストラクターの赤井田将真(しょうま)さん(25)に解説してもらった。

 nagomiでは、ヨガを応用したエクササイズや椅子に座ったままできるエクササイズの教室を開いています。教室の最後で教えているのが、セルフケアというごく簡単な機能訓練。これを自宅でもやっていただくと、足腰や肩の可動域が広がって姿勢が良くなり、生活動作や歩行機能の改善に効果的ですよ。

 では、やり方を説明します。セルフケアの動作は4種類あり、所要時間は計15分程度です。

 まずは「立ち座り」。長時間のテレビ視聴などで、お年寄りは骨盤が後ろに傾いて背中が丸まる傾向があり、これを矯正します。手順(1)=(1)椅子に浅く座る(2)骨盤を起こすように意識して背筋を伸ばす(3)床につけた両足を手前に引く(4)頭を前方に倒す(5)両手を組んで前に出し、その反動で立ち上がる。座るのはこの逆の動きで計10回やります。重心の移動を応用しているので、大半の人が無理なくできます。

 次は「歩行」。足の裏の地面をつかむ感覚を呼び覚ますのが狙いです。手順(2)=(1)椅子に座って足を組み、足の裏を自分の方に向ける(組めない人は膝を立ててやってもよい)(2)足の親指と小指を両手でつかみ扇形に引っ張り、前後に10回動かす(3)人さし指と薬指(4)中指と小指(5)親指と中指-にそれぞれ同じ動作を施す。片足が終われば、もう片方の足にも行います。

 3番目は「姿勢改善」。ヨガ用マットを巻くなど筒状の物を利用します。家庭では1・5~2リットルの筒形のペットボトルでもいいです。手順(3)=(1)椅子に座り背中と背もたれの間に筒を挟む(2)肘を脇腹につけたまま手のひらを上に向け、息を吸いながら腕を外に開く(3)3秒間腕を止めて、息を吐きながら戻す-これを10回。肩甲骨の動きを意識すると効果的です。

 最後は「上肢機能」。とても簡単です。手順(4)=(1)手のひらを上に向けて差し出し、もう片方の手で手首を下から支える(2)上の手は力を抜き、下の手で上の手をぶらぶらと揺らす。それぞれの手に1~3分程度。手首を通る動脈をほぐし、抹消まで血液が行き渡ります。冷え性にも効果的だと思います。

 セルフケアは、継続しやすくするため、ごく簡単な動作で構成しています。週2回程度でも構わないので自宅で手軽に“継続”してみませんか。 (談)

 

 

 

 

 ●転倒場所の7割は居室

 ▼森部一弘・ライフネスnagomi事業部長の話 年を取ると人は転びやすくなります。それが骨折や入院につながり、寝たきりになれば人生の楽しみがなくなってしまいます。

 東京消防庁が65歳以上の家庭内での救急事故について調べたところ、事故の68%が転倒で、うち70%の発生場所は居室でした。高齢者にとって一番の憩いの場所にこそ、転倒リスクが潜んでいます。電気コード。じゅうたんの少しめくれた部分。ちょっとした段差でも足を取られます。

 そうした転倒リスクを減らすには家の中をすっきりすることが必要ですが、身体機能の維持も欠かせません。セルフケアは要支援1~2、要介護1~3程度の人を対象とした機能訓練です。研究機関の調査では、3カ月継続した人は歩幅が平均で約2センチ広がり、椅子の立ち座りも機敏になりました。体をほぐして可動域を広げる効果があり、体に無理なくやれるのも利点だと思います。

=2013/01/31付 西日本新聞朝刊=

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