【人の縁の物語】<5>フェイスブックと離れて 「つながり」無理せず活用

 会う人、会う人、尋ねられる。「やってる?」と。インターネットの交流サイト「フェイスブック(FB)」。ネット関連会社のセレージャテクノロジー(東京)によると、国内の利用者数は推定約1700万人とされる。確かに、人との縁を結ぶのに有効な道具ではあるが、周りには“FB疲れ”を訴える人も出てきた。利用者の中心をなす20~40代で「やっていない」「使い方を見直した」という人に、そのわけを聞いてみた。

 「絶対にしない」。福岡市内の会社に勤める女性(27)の決意は固い。昨秋、FB上で同僚同士の個人批判の応酬があり、職場を巻き込む騒動となった。「直接話し合えば丸く収まるのに。FBが人間関係にマイナスに働くことがある」と感じた“事件”だった。

 社員の大半が登録し、FB上で交流する「友達」になっている。休み明けには「あの料理、おいしそうだったね」などと互いの投稿内容で盛り上がっている。そんな疎外感も「上司が書き込んだら感想をコメントしないといけないプレッシャー」に比べれば、ささいなことでしかない。

 学生時代の友人も皆やっている。近況を知ったら、久しぶりに会った時につまらない気がする。熱心に誘ってくる人には「おいおいね」と、ごまかしている。

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 1300人ほどいた「友達」を削除した。更新もやめた。FBやスマートフォン(多機能携帯電話)の活用セミナーを手掛ける福岡市の置鮎正則さん(42)。昨年10月のことだ。

 理由は「よく知らない人からのイベント勧誘メッセージなどが増え、FB上の交友関係を見直そうと思ったから」。名刺を交換しただけで、その後の交流がない人も少なくなかった。

 1週間ほどすると「楽だな」と実感。知らず知らずのうちに、近況を書き込んだり「友達」の記事に反応したりすることに、無理をしていたのかもしれない。

 仕事柄、再開せざるを得なかったが「友達」は実際に会う人を中心に絞った。「こまめにチェックしないと落ち着かなかったりで、依存すると仕事の効率も落ちる。利用時間を決めてみては」。一度FBを離れてみてのアドバイスだ。

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 「やる暇がない」と主婦(34)は言う。子どもは6歳と3歳。「一緒に過ごす時間を大事にしよう」と、子どもの前ではパソコンを使わないようにしている。

 FBは原則実名。そのルールも気にかかる。子どもの写真を載せていると聞くと「大丈夫かな」と思う。パソコンに疎い自分がやると、知らないうちに個人情報が漏れてしまいそう。

 FBをやる暇がなくても“孤育て”には陥っていない。近所の母親仲間とほぼ毎日集まり、悩みなどを語り合っている。「それで十分」と思っている。

 「振り回されるのではなく、基本的な機能を理解した上で、目的を持って使いこなすことが大切です」。生活面に「コミュニケーション哲学3」を連載中の西南学院大学教授、宮原哲さんはそう指摘する。ビジネスで顔を売ったり、昔の友人とつながったりと、もちろんメリットもある。ただし「フェイスには『表面、うわべ』の意味もある。言葉通り、対面コミュニケーションの補完なのです」。あくまで道具なのである。

=2013/02/05付 西日本新聞朝刊=

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