入院患者に焼きたてパン 福岡市・佐田病院 週1回 朝食に

佐田病院の厨房で次々と出来上がる焼きたてパン 拡大

佐田病院の厨房で次々と出来上がる焼きたてパン

ロールパンを食べる入院患者。「何もつけなくてもおいしい」

 おいしい食事で少しでも早く元気になってもらえればと、佐田病院(福岡市中央区、180床)が入院患者に焼きたてパンを提供するサービスに乗り出している。病院内の厨房(ちゅうぼう)に、パンを発酵させて焼き上げる設備をそろえて昨年秋に開始。今は週1回の朝食だけだが、患者の評判は上々で、今後は提供回数を増やす考えだ。佐田病院によると、入院食でのパンは業者から購入した完成品を出すのが一般的で、焼きたてパンを定期的に出す医療機関は全国的にも珍しく、他の病院の注目を集めそうだ。

 佐田病院の入院患者の朝食開始は午前8時。調理スタッフは2時間前から厨房で朝食作りに取り組んでいる。焼きたてパンの提供は木曜で、スタッフを1人増やし4人で対応している。

 取材した朝は紅茶クロワッサン260個とロールパン60個を焼き上げる計画。業者から事前に購入して用意した「1次発酵まで終えたパンの生地」に対し、スタッフの大坪耕作さん(32)が(1)2次発酵させる(2)生地の表面に溶き卵を塗る(3)スチームコンベクションオーブンで焼く-の作業を手際良く進め、食欲をそそる香りを厨房に広げながら、ふっくらとしたパンを次々と完成させていた。

 焼きたてパンはサラダや目玉焼きなどとともに病室へ。1月中旬から入院している女性患者(79)はロールパンをちぎって口に入れた後「モチモチでふんわり。(ジャムなど)何もつけなくても、このままでおいしい」と喜んだ。昨年末から入院中の男性患者(64)は紅茶クロワッサンを食べ「別の病院に入院した時のパンは冷たかったが、ここのは温かくておいしく、どんどん食べられる。元気になれる」と評価していた。

 焼きたてパンの内容を考えるのは、栄養科長で管理栄養士の姫島由希さん(34)。これまでにベーグルやセサミクロワッサンなども提供した。「入院食は治療の基盤で、病気と闘う患者さんの楽しみでもあるので大変重要です。パンの内容は患者さんの要望を聞いた上で決めています。焼きたてパンを食べ残す患者さんはほとんどいないので、今のところ成功」と語る。

 そもそも導入を発案したのは佐田正之院長(61)で「患者さんに冷たいパンを出すのはおかしいと思っていた。パンを焼くのはお金がかかり、入院食に対する今の診療報酬(1日3食で1920円)では厳しいが、何とか頑張って提供回数を増やしたい」と話す。

 佐田病院は外科、消化器内科、整形外科などがある急性期の病院。腹腔(ふくくう)鏡下胆のう摘出術の実施数が国内最多で、傷口が1カ所で済む「単孔式」と呼ばれる摘出術も行っている。


=2013/02/15付 西日本新聞朝刊=

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