「足育」の試み<下>足指伸ばして体調改善 アーチの乱れ 病因にも 靴選びと体操がポイント

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患者に足の状態を説明する湯浅慶朗さん

 ■くらし天気図■

 腰痛や膝の痛み、肩凝り…。多くの現代人が抱える悩みを、足の指を伸ばし、その機能をただす「足育(そくいく)」的治療によって改善させている福岡市博多区の「みらいクリニック」(今井一彰院長)。薬や手術以外の方法で、ヒトが本来持っている機能に働きかける医療を展開しているクリニックを訪ねた。

 クリニックに併設されたフットケアセンター。メジャーを手に、患者の足や歩く姿をチェックする理学療法士、湯浅慶朗センター長の姿があった。

 「素足になって、この台に立ってください」。指示に従い、足形を取るスタンプ台に乗った。重心のかかり具合によってインクの濃淡が出るそうだ。刷り上がった紙を見ると、指の痕跡は4本で、小指はほとんど写っていなかった。

 「小指は寝指で、親指も上を向いている=図(1)。全体的に指が伸びてないから、これじゃ踏ん張りも利かんでしょう」。わが足をしげしげと眺めると、小指の爪は割れ、足裏にタコもあり、何ともかわいそう。爪を切る時に見るくらいで、足への認識が不足していたことに気付かされた。

 ■三つのバランス

 「ヒトの足の裏には三つのアーチがあり、三脚のような格好でバランスをとっています=図2」。センターには腰痛、成長痛、外反母趾(ぼし)など、さまざまな症状を訴える年齢層の患者が訪れる。湯浅さんは一見、症状とは関係なさそうな足の指の話から始める。

 それは、根本的な治療をするには、土台となる足の改善が大前提となるから。足元がふらふらした状態で膝を治したとしても、すぐに同様の症状を引き起こすとする考えからだ。

 (1)横側アーチ(親指から小指の付け根)(2)外側アーチ(小指からかかと)(3)内側アーチ(親指からかかと)-この三つのアーチのどれが崩れても、体のバランスは乱れる。それでもヒトは立つものの、その時に誤った筋肉の使い方をすることによって体に無理が生じるのだという。

 そもそもなぜアーチがゆがむのか。「合わない靴が最大の要因」。院長で内科医の今井さんは断言する。

 サイズが合わないのは論外だが、理想とされる実寸プラス1センチ程度の靴を履いていたとしても、靴の形状などにより足首がきちんと固定されていなかったらどうか。足指は靴の先端に当たり、滑るまいと常に踏ん張ることで、足指が金づちのような形のハンマー指になったり、爪が上を向いたり。足指が不自然に曲がってアーチは乱れる。

 誤った履き方もある。センターでは、靴ひもをきちっと結び、足首を固定するだけで、膝痛が改善した例があるという。

 ■FC方式で鍛錬

 このセンターで本格的な治療をする場合、自分の足に合ったかかとのしっかりした靴を選ぶよう助言し、アーチの形を整える中敷きを使うなどの指導をする。加えて足指を伸ばす訓練を施すことで、1週間でO脚が改善した女性もいるほどだ。

 とはいえ、皆がそうした治療を受けられるわけではない。仕事上、ハイヒールを履かなければならない女性もいるだろう。

 そこで今井さんが提案するのが、足指のケア。中でもお勧めは、足指の間に手の指を入れ、5秒間ずつ足指をぐっと反らせたり、逆に前に倒したりする「FC方式」(握足手)だ。動かさないことで“退化”傾向にある足指に刺激を与えるこの運動を、片足ずつ1日各20セットやれば、大きな効果が期待できるという。

 高齢者を対象にした研究では、足指の力が強いほど転倒が少ない傾向があったとする報告もある。子どもの成長に、高齢者の転倒防止に、そして自らの健康のため、われわれはもっと足指の形に気を配っていい。

 ◇みらいクリニック付属フットケアセンター 福岡市博多区博多駅東1の13の31、駅東サンシティビル6F。営業は火-土曜。電話=092(415)2153。要問い合わせ。


=2013/02/27付 西日本新聞朝刊=

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