【人の縁の物語】<8>災害情報 信頼育む ツイッター FBを活用 リアルタイムで発信

ツイッターで新燃岳の噴火の状況を解説している井村隆介さん。住民も情報を活用している 拡大

ツイッターで新燃岳の噴火の状況を解説している井村隆介さん。住民も情報を活用している

 ■震災2年 もしもに備えて■

 東日本大震災から間もなく2年。日々の暮らしにおける「もしもの備え」を再点検し、教訓を未来につなげたい。生活面では、きょうから土曜まで、各曜日のレギュラーコーナーを活用して特集する。初回は「人の縁の物語」での企画。インターネットで結ばれる新たな縁を防災に生かしている現場を訪ねた。

 「久しぶりに噴気が上がっている!」。2月9日、霧島連山・新燃岳(しんもえだけ)を望む宮崎県高原町の町民がツイッターでつぶやいた。鹿児島大学准教授の井村隆介さん(49)が応じる。「先週、結構、雨が降ったからね。火口の溶岩がまだ冷えていない証拠」「予知不可能な小規模爆発はありうる」

 ツイッターはインターネットの短文投稿サイトで、140字以内の文章を手軽に書き込める。井村さんは新燃岳を25年以上研究し、2011年1月に300年ぶりのマグマ噴火をする直前から、現状を投稿してきた。

 井村さんの投稿を常時確認している人(フォロワー)は噴火前の81人から増え続け、今や2300人を超える。災害ボランティアとしても活動する高原町のNPO法人「たかはるハートム」の事務局長、大迫恒作さん(41)もその一人で「質問にも答えてくれる。何が起きているのか、すぐ分かるので助かります」と信頼を寄せる。

 「災害情報はリアルタイムでないと役に立たない。噴火の数カ月後に研究発表しても仕方ない」と井村さん。平常時は飼い猫や季節の話題を織り込み、人となりが伝わるよう心掛けている。信頼感は、そんなところからも育まれる。

 利用者が急増しているインターネットの会員制交流サイト「フェイスブック」(FB)。佐賀市のコミュニティーFMラジオ局「えびすFM」も1月末に開設した。

 きっかけは昨年7月の九州北部豪雨だった。福岡や熊本の被害が目立ったが、佐賀市も大雨に見舞われた。「○の前は車のタイヤの半分まで冠水しています」「△付近の国道は通行止めです」。街にいた番組スタッフや市民が自主的に電話で連絡してきた。そのままスタジオにつないで放送。市民からは「身近な情報が分かって役に立った」と好評だったという。

 FBには写真や地図も投稿できる。FM放送と連動させれば、災害情報をより詳しく知らせられる。本格運用は梅雨前の5月から。社長の池田真由美さん(52)は「テレビや既存のラジオが伝えきれない生活圏の災害情報を届けたい」と話す。

 えびすFMは、佐賀県武雄市のFBを参考にした。市のホームページをFBに全面移行し、フェイスブック・シティ課を設置している。九州北部豪雨では30分おきに、市内の冠水や土砂崩れの状況をFBで伝え続けた。

 そうした情報を報告したのは、市内各地に散った職員だった。えびすFMでも市民や公務員に情報提供を依頼することにしている。伝達手段はネットでも生きた情報を届けるのは、やはり人だ。

 一方で「約50人に限定することで信用性を高めたい」と池田さん。特に防災情報は命に関わるだけに、ネットの縁における信頼感と信用性は「もしもの備え」として欠かせない。


=2013/03/05付 西日本新聞朝刊=

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