高齢者の災害対策は? 近所付き合いを密に お薬手帳を準備して

「災害時にお薬手帳は役立ちます」と語る薬剤師の久保田健さん 拡大

「災害時にお薬手帳は役立ちます」と語る薬剤師の久保田健さん

 ■震災2年 もしもに備えて■

 東日本大震災のような「もしも」に備えて、1人暮らしのお年寄りや高齢者夫婦だけの世帯は、どんな物を用意したり、どんなことをしておいたらよいのだろう。お年寄りの問題に詳しい介護保険のケアマネジャーなどにアドバイスしてもらった。

 「日ごろから近所付き合いを密にしておくのが大切」と強調するのは「あんのうらクリニック」(福岡市早良区)でケアマネジャーを務める北口大哉さん(39)。大震災直後の2011年4月、被災地である宮城県の避難所で介護ボランティアをした経験がある。その時、1人暮らしや「日中独居」の高齢者宅に近所の住民が駆け付け、背負うなどして避難させた例を多く聞いたという。

 「あのおばあちゃんは家で1人だけど大丈夫だろうか、と心配して様子を見に来てくれる人がいれば、これほど心強いことはない。そうした人間関係を日ごろから築いて」と北口さん。住民との交流が難しければ、よく通う近くの飲食店や理髪店などの人と付き合いを深めておくのもいい。

 地震に見舞われると、家が倒壊してしまうこともある。(1)本棚やたんすが倒れても体に直撃しないよう、家具から離れた場所で寝る(2)ガラスの破片などが散らばった室内でも移動できるよう、厚手のスリッパや運動靴をそばに用意しておく-ことも大事だという。

 「くれよん薬局青葉店」(福岡市東区)の薬剤師、久保田健さん(36)は「お薬手帳を準備して」と訴える。お薬手帳は調剤薬局で入手できる。医師の処方箋に基づく薬を購入する際、調剤薬局に提出すれば、薬名や1日の使用量などを記載してくれる。

 「慢性疾患を抱えて多種類の薬を常用するお年寄りは多いのに、薬名が覚えにくくて常用薬を正確に言える人は少ないと思う」と久保田さん。常用薬を持たないまま避難所に逃げて支援物資の薬を受け取る場合、お薬手帳があれば駆け付けた医師や薬剤師はスムーズに薬を渡すことができる。実際、東日本大震災の時も「お薬手帳が威力を発揮した」との報告もある。

 福岡県直方市で勤務医として働き『いつすべきか?119番』という題の本を書いた医師の河崎一生さん(33)は「せめて心筋梗塞や脳卒中の症状は知っておいてほしい」と語る。

 心筋梗塞も脳卒中も命を脅かす病気。症状が出た場合、医療機関にいち早くかかることが重要だ。災害で避難している時はストレスに伴う血圧変動などで、この二つの病気にかかりやすい。そうした状況で懸念されるのが、お年寄りが避難所で症状が出ても周囲に遠慮して普段以上に我慢し、手遅れになることだ。

 「このような病気の症状を前もって知っておけば、ためらわずに周囲にSOSを発信でき、自分の命を守れる」と河崎さん。脳卒中の症状は(1)片方の手足が動かしにくい(2)しゃべりにくい-など。心筋梗塞の症状は(1)胸を締め付けられるような痛み(2)胸を圧迫されるような痛み-など。事前にかかりつけ医などから習っておきたいものだ。

=2013/03/07付 西日本新聞朝刊=

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