【こんにちは!あかちゃん】第3部 私は産めますか?<4>子宮内膜症 20~30代増

 《鉛をぶら下げているように腰が重い。吐き気に頭痛も。だからといって仕事は休めない。痛み止めをのんでひたすら耐える。月1回、そんな「生理痛」があるのは仕方ないこと》

 そう思っているのは私(31)だけではないだろう。それがまさか、病気のサインかもしれないなんて…。

 「子宮内膜症」。重い生理痛を引き起こし、不妊症やがんにもつながる病気だ。20~30代に増えており、歌手の松浦亜弥さんや宇多田ヒカルさんなど、治療を公表した芸能人もいる。

 子宮内膜は通常、不要になると月経血として体外に排出される。それが卵巣や膀胱(ぼうこう)など子宮以外で増殖して体内にとどまってしまうと、炎症を起こす。

 発症のリスクは月経の回数が多いほど高まる。このため、初潮が早まり、出産回数が減った現代女性に増えているという。

 福岡市内で働くユキさん(28)=仮名=は2011年9月、激しい腹痛に襲われ、職場で倒れた。病院へ向かう車の中で「盲腸だろうか」とぼんやり考えていたが、診断の結果は「チョコレート嚢胞(のうほう)」=イラスト参照。子宮内膜症の一種で、卵巣内に血がたまってしまい、破裂寸前だったのだ。すぐに手術が必要だと言われた。

 もともと生理痛がひどく量も多かった。学生時代はあまりの痛みに寝込んでしまい、学校を休むことも。ただ、母と姉も同様だったので、体質なのだと諦めていた。性交痛がひどくても病気だとは思わなかった。

 手術後も生理痛が改善されず、別の病院を訪ねた。子宮内膜は腸や卵管、卵巣などいろいろな臓器にばらまかれ、癒着を起こしていた。子宮の筋層に内膜が入り込む「子宮腺筋(せんきん)症」も併発している。再び手術を受けたものの、医師から「妊娠はかなり厳しい」と告げられた。

 昨年夏から不妊治療を始め、2回の体外受精を試みた。まだ妊娠には至っていない。今の仕事にやりがいは感じている。でも最近は治療に思うように時間を取れず、休職して専念しようかと思い始めている。

 「仕事に熱中して、自分の体をないがしろにしてきたつけなのかも。もう少し早く気付いていれば…」

 〈女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌の変化によって、排卵と月経を繰り返している。月経から排卵までの低温期には、エストロゲンが作用して子宮内膜を分厚くする。排卵後の高温期にはプロゲステロンが作用し、内膜をふかふかの状態にして着床(妊娠)に備える。着床しなければ、内膜がはがれ落ちて月経となる〉

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 「毎月生理があっても、排卵があり、きちんと周期が整っていなければ、正常な月経とはいえません」。福岡市の産婦人科医、詠田由美さん(57)はそう指摘する。生理不順や妊娠、出産の時期が遅くなってエストロゲンのみにさらされる期間が長くなると、子宮内膜症のほか、子宮筋腫、子宮体がん、乳がんなどが発病しやすくなるという。

 要するに、二つのホルモンのバランスが大切ということだ。

 その改善に役立つのが、避妊薬として知られる「ピル」。エストロゲンとプロゲステロンを含むので子宮内膜症の治療薬としても使われる。生理周期を整え、生理痛が軽くなるといった効果があるという。もっと基本をいえば、排卵がきちんと起きているか調べるため、基礎体温を記録することも大切になる。

 詠田さんは「婦人科疾患は、症状が現れた時にはかなり進行しているケースが多い。妊娠の時期を遅らせたいなら、きちんと自分の体の状態を知り、整えておくことが大切です」とアドバイスしてくれた。

 《独身の私にとって、産婦人科は何となく敷居の高い場所だった。かかりつけの病院をきちんと持って、生理の量や周期に変化はないか、痛みはどうか、自分で管理していこう。次回は12日に掲載予定。「体の整え方」を考えます》

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 ●メモ ピル(経口避妊薬)

 エストロゲン、プロゲステロンの二つの女性ホルモンを含む錠剤。排卵を抑制することで避妊効果を発揮する。米国で1960年に発売されたのが最初で、世界で9000万人以上が服用しているとされる。最近は、ホルモンの含有量を少なくした低容量ピルが主流。

 正しく服用した場合の1年間の避妊失敗率は0.3%で、コンドーム使用時の2%より低い。月経痛の緩和、多毛症やニキビの改善、卵巣がん、子宮体がんの予防などの効果もある。副作用に吐き気や頭痛、血栓症があり、35歳以上の喫煙者は服用できない。治療目的の場合、健康保険が適用されることもある。費用は1カ月3000円程度。

=2013/03/08付 西日本新聞朝刊=

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