「女性ならでは」の防災が必要 専用の更衣室、授乳室 要望、届けやすい仕組みを

「女性ならではの悩みを聞いてもらえたらよかった」と避難所生活を振り返る小柳浩子さん(中央)と家族 拡大

「女性ならではの悩みを聞いてもらえたらよかった」と避難所生活を振り返る小柳浩子さん(中央)と家族

「洗顔や化粧ができない時にマスクは重宝します」と話す西山淳子さん

 ■新訳男女 語り合おう■ 
 東日本大震災では、間仕切りや更衣室のない避難所が多く、女性がストレスを抱えた。生理用品など女性が必要とする物資も不足した。「もしも」に備えて、女性にとってどんなことが必要なのか。昨年7月の九州北部豪雨で避難所生活を経験した人たちなどに話を聞いた。

 「女性ならではのデリケートな悩みを少しでも聞いてほしかった」。九州北部豪雨で被害を受けた福岡県八女市の小柳浩子さん(36)は、避難所での生活をそう振り返る。

 豪雨で自宅が流され、両親と姉、長女と共に近くの公民館に約1カ月、避難した。多い時には30人ほどが共同生活を送ったが、間仕切りはなく、女性たちは台所で着替えたり、着替えの回数を減らしたりしていたという。

 女性用のトイレは一つだったので、気を使って我慢することもあった。生理用品の処理にも悩んだ。洗濯ができても下着などは干しづらく、無事だった知り合いの家の軒先を借りたこともあった。

 小柳さんは「市役所の担当者から体調を尋ねられる機会はあったけれど、みんなの前で話しづらかった」と話す。個別で対応するなど配慮が必要だ。

 東日本大震災でも、女性が「女性ならでは」の問題に直面した。男女共同参画の実現を目指す仙台市のNPO法人「イコールネット仙台」が2011年9~10月、宮城県内の被災女性3千人を対象に調査し、1512人から回答を得て「東日本大震災に伴う『震災と女性』に関する調査報告書」にまとめている。

 その中で、避難所の設備の有無について聞いたところ、男女別の更衣室や授乳室、男女別の洗濯物干し場、家族ごとの仕切りが「あった」と答えた人は、ごく少数だった。「下着は生乾きのまま身につけている」「布団の中で着替えをするしかない」「人前で授乳ができないので母乳をやめてしまった」といった声も聞かれた。

 代表理事の宗片恵美子さん(63)は「避難所のリーダーのほとんどが男性で、女性の声が届かなかった。女性の多くは生活者の視点もあり、地域の防災の担い手になる。男性だけに任せるのではなく、防災や復興計画の意思決定の場に女性ももっと参加しなければ」と強調する。

 ●自分でもできること 生理用品、マスク準備

 「もしも」に備え、女性はどんな物を用意しておけばよいのだろう。福岡市のNPO法人「福岡被災地前進支援」の西山淳子さん(42)に尋ねると、ナプキンなどの生理用品は下着を替えられない時にも役立つほか「マスクも重宝します」と話してくれた。

 マスクは、水がなくて顔が洗えなかったり、化粧ができなかったりする場合、顔を覆うのに使える。ボランティアとして、東日本大震災の被災地で女性の話を聞いた西山さんは「災害時に化粧なんて、と思う人もいるけれど『自分を保つ』ために必要な物が女性にはある。それを考えて、必要な物を準備しておくことが大切です」とアドバイスしていた。


=2013/03/09付 西日本新聞朝刊=

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