ハローワーク 学生も支援 履歴書添削や面接対策 専門家が個別指導

福岡新卒応援ハローワークの就職相談コーナーで個別指導を受ける学生たち 拡大

福岡新卒応援ハローワークの就職相談コーナーで個別指導を受ける学生たち

 失業者や離職者の再就職をあっせんするイメージの強いハローワークが、学生を中心とした若者の就職支援にも力を入れている。企業で採用担当を経験した専門家らが、履歴書の添削や面談の受け答えなどを個人指導。就職支援窓口の人員が限られた大学では「相談待ち」もある中、学生がお気に入りの相談員を選べるほど態勢が充実している。

 迷わず2年目の門をたたいた。「親身で丁寧。アドバイスが本当に役立ったから」。今春、福岡市内の大学を卒業した女性(22)の言葉に、よどみはない。

 昨秋、第1志望の食品会社の内定をつかんだ。就職活動では、リクナビなどの就職情報サイトを活用し、企業情報や面接会の日程はきめ細かに入手できた一方で、限界も感じた。「自分をどう売り込んでいけばいいのだろう…」

 友人の紹介で福岡市・天神にある「福岡新卒応援ハローワーク」に登録。初めての個別指導で衝撃を受けた。志望動機や自己PRを記すエントリーシートの添削では、生い立ちから根掘り葉掘り聞かれた。大学の就職課では何も指摘されなかった同じ内容が、跡形もなく書き換えられた。

 「自分を見つめ直すことができた。得意なこと、苦手なこと、やりたいこと。面接で言葉に詰まることはなかったです」

 内定はしたものの「規模は小さくても、もっと栄養に携われる仕事をしたい」と卒業直前に断り、管理栄養士の資格取得の勉強をしながら2年目の就活中だ。

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 「福岡新卒応援ハローワーク」は2010年9月に設置された。それまでは、東京や大阪、愛知などの都市圏と並んで1977年に開設された「福岡学生職業センター」が若者の就労支援を続けてきたが「専門職員はおらず、ほそぼそしていた」(福岡労働局)。

 転機は2008年秋のリーマン・ショックだった。採用の抑制や内定取り消しが相次ぎ、就職戦線は「超氷河期」に。こうした事態に対処しようと、国は各都道府県に「新卒応援ハローワーク」を設置し、新卒と既卒3年以内を対象に、集中的な就労支援に乗り出した。現在61カ所ある。

 福岡には26人の「ジョブサポーター」がいる。企業の人事労務管理の経験者やキャリアコンサルタントなど有資格者で、登録者一人一人に専任で付き、就職紹介はもちろん、エントリーシートの書き方や面接対策を個別指導。複数学生による模擬面接など多様なプログラムも用意されている。

 就職促進指導官を務める桜木慎哉さんは「とにかく学生の話をよく聞き、よく尋ねる。コミュニケーションを深めながら一緒になって内定というゴールに向かいます」と親しみやすさを強調する。

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 「大学だと2日待ちなんて当たり前だけど、ここはすぐに対応してくれる」。4月中旬、福岡新卒応援ハローワークを訪れた男性(21)はそう話す。窓口に顔を出すのは2度目という。

 九州の大学では、就職相談窓口で助言できる専門職員が1人しかいないケースもあり、マンパワーの不足が深刻とされる。企業訪問で採用したい人物像を探るハローワークに比べ、求人情報も薄くなりがちだ。

 一方、福岡新卒応援ハローワークに新規登録した人は、10年度の7421人から12年度には9162人へと2割強アップ。訪れた若者の延べ人数も、10年度の約2万人から12年度は約4万人と倍増している。

 もちろん大学と競合する関係ではない。ハローワークの求人情報は各大学でも検索できる。今年から、福岡新卒応援ハローワークの専門家が週1回、九州産業大学(福岡市)への出張相談も受け持っている。

 このほか、2004年度には各都道府県所管の「ジョブカフェ」も開設され、原則15~34歳の就労を支援している(全国に117カ所)。九産大キャリア支援センターの江頭秀輝進路支援課は「一人でも多くの学生が就職できるよう協力していきたい」と話している。

【ワードBOX】新卒大学生の就職内定率

 厚生労働省と文部科学省によると、2月1日現在の大学生の就職内定率は81・7%。前年同期と比べ1・2ポイント上昇し、2年連続で改善した。福岡県内の四年制大学を今春卒業した学生の就職内定率は3月末で前年同月比3・4ポイント増の88・3%と、バブル経済が崩壊した時期の1993年度以降で最も高くなった。新卒大学生の内定率は2008年のリーマン・ショックによる世界的な景気悪化で大きく落ち込み、福岡県内でも直後の09年度には82・4%まで下がっていた。

=2013/05/04付 西日本新聞朝刊=

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